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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-76-

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「願い事、残らず言わなくちゃ」
「でも3回も言う時間ないみたい」
 流星が増え出す。同時に二つ現れたり、間髪を入れず後を追うように飛ぶなど、なるほどニュースで言うように“雨降るような”数まで増える、と予感させる。
 イヤホンがピン、と言った。
「寄り道?」
 真由が先に言った。
「うん」
 


 
 再び船に急加速が掛かる。中空に巨大な、それこそ流星を思わせる光の弧を描いて反転し、西へ進路を取り、雲の下へ降下。なお、これより展開されるミッションの具体的な活動地は、内容上、差別的との誤解を受ける可能性があるため、明記は避ける。時間的には夜のエリア。
『……反政府勢力の盗賊団が難民キャンプを襲撃中』
「は?」
 真由のその声音は“我が目を疑う”を声で表した、そのもの。
 同じ気持ちは読者の方にも多いのではあるまいか。確かに“反政府集団”という言葉に対して、“貧しい人々の味方”という印象が、特に日本では強いかも知れない。
 レムリアは舌打ちして。
「取れる場所から取れるだけ取る。判る?義賊ってのは幻想ってこと。難民……つまり武器も力もない。そんな人たちの所に食べ物も医薬品もある。これ幸いってわけ」
「そんな……」
「反政府、宗教対立、正義の味方を気取って武器と暴力にモノを言わせ、苦しい人々を尚苦しめる心底悪辣な者どもは後を絶たない」
 レムリアは拳を握った。
 船が地域上空を旋回する。月は程なく沈もうとするところであり、地表はほぼ闇。その中でタイマツが激しく揺らぎ動き、その炎の光を反射しつつ、流れ飛ぶものが幾つか。
 流れ飛ぶものから少し遅れて、パン、パンと、爆竹の破裂音に似た乾いた音。
 多数の悲鳴。
「銃声!?」
 真由が息を呑む。
 直ちに聞こえてくる船長の声。
 
(つづく)

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