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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-78-

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「いや持てる水であればいいんだ。水が持てる状態……」
 レムリアはごんごん叩く真由のその手を制した。
 
「氷!」
 
 二人は叫んだ。
『南極へ行くぞ!』
 二人の声を聞くなりシュレーターが言った。直ちに船が浮上する。
『甲板下がれ。そこを使う』
「了解」
 レムリアは真由の手を取った。
「氷を南極まで取りに行くの?」
「この船なら出来るんだよ。地球の裏まで6秒だもん」
「ああ!」
 なるほど、という表情。
『甲板まだか』
「入ります。入りました」
 二人は甲板から船内通路へ戻る。
『了解。INS作動。移動中衝撃注意』
 シュレーターの声。通路でぼーっとしていても仕方がない。状況を確認するため、そのまま通路を走り、いかにも頑丈そうな巨大な扉の前に立つ。観音開き(2枚のドアパネルが両側へ開いてゆく)であり、中世欧州の城から取ってきたみたいな、凝った木目の意匠が施されている。
 厳かな機械の儀式、とでも書くか、内部でメカ類の力感溢れる駆動音がし、観音開きが両側へゆっくり開いた。
 操舵室。
 まず目に付くのは左手にそびえ立つ巨大なスクリーン。
 その映像を見、真由が思わず目を伏せる。
 なぜなら、映った映像は船が今まさに雪山に突っ込もうとしている所であるからだ。
「閉じるぞ。INSタイプ1(わん)」
 観音開きが閉じ、船が加速し、雪山が一瞬大きく見え、
「うあ」
 まぶたを閉じる閉じないの時間で、画面が真っ暗になる。
 雪山に船もろとも突っ込む。ショックが無いのはINSの作用。
「主機関逆転全力!両舷全速後進!」
 喚呼の声はドクターシュレーター。口ひげを蓄え、額の広い、ラテン系の小柄な男性である。手元コンソール上の左右レバーを操作。
 何事もない事に気付いたか、真由が伏せた目を開くと、船は穴の空いた雪山から後進状態で浮上中。……雪山に船ごと突っ込み、甲板上にその雪を積んだのだ。
 
(つづく)

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