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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-84-

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 レムリアは顔を戻し目を閉じた。船の向こうにいるであろう、野蛮と化した男達の意識を探っているが、何を捉えているか敢えて書きはしない。
 目を開く。
「船を動かして下さい……大丈夫」
 船が浮上する。すると、船体に隠されていたその向こう、男達は腰が抜けガクガクと震えた状態で地に座り込み、失禁している。すなわち恐怖から動けない状態。その彼らの目に、今映じているのは、天空を無数の星が流れる中、暴風と共に女性を抱いて現れる美しい少女という図。
 男達は大声を、正気を逸したかと思うほどの喚き声を上げた。稀有の天体現象を背景に、“沸いて出た”、肌の色異なる娘。
 彼らに取り、それは理解常識を超えており、形而上の現象であり、その出現を招いたのは、己れらの所作に対する罰の故……という理解であるようだ。
 そしてそれがゆえに、レムリアは口にしようとしたセリフを引っ込めた。……聞いて欲しいことがあったが、これほどの恐怖を覚えていては無理だろう。これ以上何かすれば、ましてや、追いかけて聞かせようなどするならば、狂に陥るか驚愕ショックで死亡する。
 ちなみにレムリアは彼らを弾劾しようとしたのではない。ことの背景は飢餓なのだ。すなわち、この地は耕作には不向きということ。だったら、援助をただ待つでは解決しない。
 耕作できる地を探し、動いた方がいい。レムリアは、彼らが自分をそれと見ている形而上の存在に代わり、言おうとしたのだ。もちろん、自分が形而上の存在と思っているわけではない。そう思われてるなら、その立場だけで説得力を持つからである。自分の知る限り、原初人間は、狩猟採集の地を求めて5大陸をさすらった。援助は必要と思うが、自活する道は常に探り続けなければ永遠に援助が終わらないし、こんな悲劇も断ち切れない。それが自分の見解だ。
 
(つづく)

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