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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-85-

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 真に必要なのは、初期段階こそともかく、食べ物そのものではなくて、自分で生きて行くための知識と手段だと信じる。
 “先進諸国”よ、カネとモノさえ送ればいいというのは、飢える者を見た富める貴殿らの、単なる驕りではないのか。
 レムリアは這々の体の連中に背を向け、母を抱いて船へ戻った。今、船は地にあり、光学機能を解除して姿を見せており、舷側船倉を解放、内部装備を展開して簡易救護室にしている。内部には救護用ベッド、及び、エレクトロニクスにモノを言わせた各種検査装置がひと揃い、表示類をパカパカさせて稼働中。もちろん、超銃を背にした男達が戻ってきて傍らにいるから、ここまで出来る。
 ベッドには真由が腰を下ろしている。乳飲み子を抱き、哺乳瓶でミルクを与えているが。
 その姿を見下ろす船の仲間達は困惑の表情。
「なんで、なんでこの子は飲まないの?甥っ子にやったことあるし、私ヘタ……じゃないと思うけど。……だってヤバいんでしょうこういうお腹って」
 真由は赤く腫れた目で、母を横たえるレムリアを見、問うた。真由の言う赤ちゃんの腹部は、栄養失調の典型所見である膨満状態を示している。
 飢えの状態であるのにミルクを飲んでくれない。真由の泣き腫らした目は、彼女なりにさんざ工夫したが、どうにもならない。どうすればいい?ということであろう。急がないと……という焦燥も混じっていようか。
 レムリアは抱かれた赤ちゃんに触れた。その手足に“芯”を感じない。それは、骨が無いのでは?と思えるほどであり、戦慄すら覚える。枯れた小枝よりたやすく折れても不思議ではなく、無造作に投げ出されたこの子に大きな怪我がないのは、それこそ奇蹟と言って良い。
 
(つづく)

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