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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-100-

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10

 
 携帯電話の時計が示す世界時。
 日本時間に直すと午前4時と出た。真由の気持ちは大きく変わったし、彼女が続いてアルゴプロジェクトに残るにせよ、プチ家出から一旦戻るには、丁度いい頃合い。
 船は甲板に二人の少女を乗せ、ユーラシアの今度は北部、ロシアよりシベリア域を横切って日本へと向かう。流星は変わらず途切れなく飛んでいるが、さしもの“しし座大流星雨”もピークは過ぎてきたようで、セレネが言ったような吸い込まれる感じは最早ない。陸域が途切れ、程なく、指向する日本海、その向こうに、眠りを知らぬかの如く、日本列島が明るく見えてくる。灯火で列島の縁取りが浮かび上がるのだから相当なものだ。まさに今宵訪れた地とは対極に位置する。
 と、そこでイヤホンがピンと音を立て、緊急事態と同じ急加速で船が降下。
 しかも行く先は日本。
「日本で、ですか?」
 レムリアは問うた。
『ええ、絶望の淵に立った男性がいます。……真由さんの方が適任ではないでしょうか』
「私……ですか?」
 イヤホンのセレネの声に、真由は自分を指さした。
 船が止まったので下を見る。砂浜に立つ灯台。
 愛知県知多郡美浜町(ちたぐんみはまちょう)……常滑駅から知多半島先端方向へ南下することおよそ20キロ。
 真由があ、と小さく言った。
「ここ野間(のま)灯台?……うわマジ野間じゃん。あ、親父」
「え?」
 言われてレムリアは目を凝らす。
 確かに灯台頂部の足場に男性の姿があり、手すりに手を載せ、遠く海原を見つめている。
 絶望の淵の男性、とセレネは言った。
 まさか!
『レムリア、後はあなたに』
「はい判りました」
 イヤホンがピン。船の制御権が自分に移った。
 心理同期制御。すなわち“思う”ことにより船を制御する。レムリアは船の高度を下げた。ただ、まさか目の前に空から降りて『ただいま』と言うわけにも行かず、背後に回る。
 
(つづく)

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