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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-102-

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 この父親なら今回の事態に対して、真由の最大最強の味方になる。それこそ天空の獅子が今宵自分たちの味方をしたように、“家族を守る雄々しき獅子王”として立ち上がる。レムリアは確信を持った。
 
 言って、いい。
 
 問題は。
 と、そこでレムリアは気付いた。
 『お前さえいれば』と、父親は言った。
 麻子さんはどこへ?
「麻子に連絡は……」
 先に真由が訊いた。
「その必要はない」
 父親は真由を真っ直ぐ見返して、言った。
「え?」
「『朝になれば帰ってきますよ』とか吐かしたからひっぱたいた。そしたらキョトンとしてな。叩かれた理由がワカランということだろう?だから言ってやったんだ。それでお前は真由の母親になるつもりか、ってね。そしたら……出て行ったよ。歌に出てくる振られた女みたいにな。まぁ……帰ってくる気があるなら連絡してくるだろう」
 これには真由が目を剥いた。
 父親はニヒルにすら見える笑みを見せて。
「そう驚くな。確かに麻子の見立て通り夜遊び家出だったかも知れない、結果的にな。だが、それは親の取る態度じゃないし思考回路じゃない。だから、そうだと言ってやったんだ。そしたら……オレは子離れ出来てない!だとさ。それってテメエとお前を対等に見てくれってことだろ。女対女として。
 一気に冷めたよ。悪いがオレは既に父親なんだ。
 そしてコイツは母親じゃない、なれない、ああ、まだ無理なんだと思ったね。真由、お前あいつを避けてただろう。当然だと思ったな。あいつのお前に接する態度は、言葉遣いは慇懃丁寧だが、要するに押しつけねじ伏せの裏返しなんだ。まぁ……そういうわけさ。フフ、14の娘に何話してるんだか。にしても今日の流れ星は凄いな」
 
(つづく)

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