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2010年12月12日 (日)

グッバイ・レッド・ブリック・ロード-103-

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 父親は恥ずかしそうに頭をポリポリ掻くと、それ以上訊くなと言わんばかりに話題を変えた。今しし座中心は南南東、天高くにある。そこから四方へ星が打ち出される様は、さながら途切れぬ花火。
「流星群、なんだって。宇宙モノの映画でさ、星の雨の中に突っ込んで行くみたいなシーンがあるじゃない。あんな風に降ってた時もあったよ。それだけで地面が明るいんだ。まるで奇蹟」
 真由は言った。
「それは凄いなぁ」
「でもね。星見て喜んでるなんて凄い贅沢なんだよ」
 真由の言葉に、父親は己の娘をチラッと見、
「……それも『勉強』の成果か?まぁそうだな。平和な証拠だもんな」
 星を眺めて父娘の会話。
 もう、夜遊びはいいだろう。レムリアは船を帰した。
 全速発進。流星に混じり、しかし他の流星と軌道を異にし、白い輝点が西へ向かう。
「おお、今のはすげーなぁ。火球ってヤツが出るかもってニュースで言ってたけど、それか?」
 驚く父親の傍らで、真由が気付いた。
「今のって……」
 レムリアを振り向く。
「そうだよ。もう、いいでしょ」
「でも……」
「参加するしないの件?今のあなたは、刺激の連続でハイテンションだから自覚してないかも知れないけど、あれから4時間経ってるし、高温で乾燥した地域で走り回った。今日はもう休まなくちゃ」
「ドクターストップならぬナースストップ?」
「まぁ、そんなところ。それに、その件は重要だし大切だからよく考えて。あんなことずっとやるのかどうかってね。それからでいい。もしOKであれば、改めて、事前準備として、応急処置のレクチャーに来ます」
「判った。お礼と、よろしくって言っといてね」
 真由は思い出したように耳の無線セットを取り出し、レムリアに手渡した。
 
(つづく)

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