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2010年12月19日 (日)

グッバイ・レッド・ブリック・ロード-110-

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 父親の言葉を受け、レムリアは持っていたノートのコピーを取り出し、教員に渡した。
 真由が書き出した“全て”である。
 教員二人は数葉のそれを“パラパラ”と、めくり、眺め。
「真由さんはクラスに馴染めていない……ですかな?」
 学年主任の方が言った。
 父親は、学年主任をじろりと見、
「まるで真由の方に責任があるような口調ですな」
「いえそんなことは」
 すぐに担任が応じ、そして続けて。
「比較的一人でいるほうが多い、という話は聞いております。ただ、ですね。積極的に……」
「ちょっと待てよ。人の言うこと聞いてないなあんた。傷付つけられると判っているのに、何で積極的に関わって行かなくちゃならんのだ?上履き隠されて教科書に馬鹿と書かれてそれでもなお“私と仲良くして”なんて、そんなプライドをかなぐり捨てたようなこと、娘にやらせるわけがないだろう。犬ですら殴られた人間には近づかないぞ」
 父親は立ち上がり、やや早口になり言葉を走らせた。
 それは“娘”に分類される立場の自分から見て、当然の反応だ、とレムリアは思った。自分の娘の行動を、故も無く咎められた父親。
 ライオンの雄は、群れの危機に際し身を起こし咆哮を放つ。
 対して。
「殴る?……ちょっと待ってください。それは幾ら譬えとはいえ……」
 と、担任が口にしたそこで、レムリアは“切れ”た。単なる比喩に、殴る殴らないを使うのが適切かどうか、そんなのどうでもいい話だ。
「論点が違うだろあんた」
「君は?」
 噛みついたレムリアに、いま初めて彼女の存在に気付いた、そんな口調で担任が応じた。
「真由ちゃんの友達」
 それ以上必要ない。
「君も本校の……」
「違うよ。ド平日に学校に行ってないからって、あなた方に責任は及ばないから心配しなさんな。それより訊きたいんですが、彼女が一人でいることが多いと判っていたなら、なんでそこで声をかけようとか、様子を聞こうとしなかったんですか?」
 
(つづく)

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