グッバイ・レッド・ブリック・ロード-115-
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無知、かつ、インターネットの知識もないのか、というニュアンスを含んだ、恐ろしく人を馬鹿にした言葉である。21世紀初頭に現れた。
レムリアはため息をついた。ググレカスが人に訊くなという意味である上、いじめの対処も判らないならインターネットでそれこそ“ぐぐって”みろ、という、自分なりに強烈で凝った悪口のつもりだったが。
幾ら辛らつでも、通じないとまるで無意味。
教員……教える人か。
何を誰に?
「言い方を変えます。どちらか、お子様いらっしゃいますか?」
「私には」
学年主任の方。
「そのお子様が他人様の子供を目の前で叩きました。親として自分の子供にまず何を言いますか」
「こら、いけません」
「それから?」
「叩いたりしちゃだめだろ」
「それから?」
「それからって……」
「叩いた理由を問わないのですか?」
「理由……」
「子供とて暴力に訴えるにはそれなりの理由があるはず。その論拠が間違っていると諭さないと、子供は行動を否定された、という欲求不満の塊になるだけですよ。それこそ暴力にカタルシスを見出すいじめる子になってしまう。……良く知りませんが、こういう話、教員免許を取得する過程で座学なり実習なりでやらないんですか?」
「それは……」
学年主任がうつむく。
「人様の子供の人権と尊厳を扱っている人間の姿勢とは思えませんね」
レムリアはその後頭部に追い討ちをかける。
そこでたまりかねたように担任が口を挟む。
「君ねぇ……」
「何ですか?」
どうせまた論旨のすり替え。
「さっきから聞いてるとあまりにも失礼な口の聞き方じゃないか?」
「さっきから言ってますけどあなた方の態度姿勢は真由ちゃんに対してあまりにも失礼じゃないですか?要旨まとめて差し上げましょうか。嫌がらせされても仲間にしてもらう努力をなさい。僕はどうすればいいか判らないから自分で勝手に空気読んでやんなさい。それでもダメならわたくしたちが対処法調べて担任殿に報告なさい。わたくしが理解把握しているあなた方のご見識は以上です。間違ってるというならご指摘ありがたく頂戴致したく存じますが。担任教諭殿」
(つづく)
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