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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-93-

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「そういやレムリアもそんなこと……自分で言うと恥ずかしいけどさ」
「うん言ったよ。普段自分を傷付ける相手に向かって、私を傷付けたくないからって防犯ブザーを作動させる。後からどんな仕返しされるか判らないのに。これほどの勇気はないと思うけど?」
 真由はうつむいた。そうまで誉めてもらえる事と、日常の自分とのギャップ。
「真由さん」
 セレネは呼んだ。
「はい」
「レムリアが当面の貴女の身の振り方に付いて、幾つか提案をしたと思いますが。……どうでしょう。私たちと行動を共にしませんか?」
「え?は?」
 真由は目をまん円。
 しかし。
「でもこの船の皆さんは奇蹟のような能力の……なんでしょう?私は看護師のような技術も、魔法も……」
 しょげたように。
 セレネは包んだ真由の手をそっと撫でながら。
「確かに、この船には奇蹟の能力を持つ者が多くいます。そして貴女には、異国の乳飲み子すら泣きやんでしまう優しさがあります」
「でも……それとこれとはレベルが」
「そうかな?異国の空港で迷子になって言葉も通じない。そこで自分でも判る言葉で声を掛けられた。だからってハイハイ付いて行って良い……普通、親はそんな風に我が子に教えるかな?逆に警戒して逃げるのが普通じゃないのかな?」
 レムリアの指摘に、真由はハッとした表情で振り返った。
「それは……」
「あの子が一目で真由ちゃんを信頼したからだ、と私は思ってるけど?」
「あらそんなことが」
 これはセレネ。
「ええ。だから安心して私は赤ちゃんを真由ちゃんに任せました」
 しかし真由はまだ反論する。
「でも空港の子はレムリアの手品が……」
 頑ななまでの自己否定。
 ここまで褒めているのに何なんだと思われる向きもあるだろう。しかしレムリアはその理由が判っているから、思わず溢れそうになるものをこらえた。つまり、自分はダメだ、認められないんだと、再三再四認識を強要されていたゆえの、一種の自己暗示のなせる技である。
 
(つづく)

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