グッバイ・レッド・ブリック・ロード-95-
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「でも心臓マッサージも人工呼吸も出来ませんよ。子どもの相手しかできない私なんか連れて行ったら足手まとい……」
「You were saved. We go to a hospital from now on. Therefore please never give up !. We perform all can do it so that you survive.」
レムリアは、真由がおぼれた女性に対して掛けた言葉を、そのまま言った。
「あのひと子どもだったっけ?氷という着眼点は?」
レムリアは意地悪そうに笑った。そして続けて。
「あなたが幾ら否定しても、あなたは既に立派に救助活動に参加し、そしてやってのけてしまったのですよ」
レムリアは言った。
「意地悪……」
真由はぼそっと呟いた。
涙流しながら、しかしその目元にかすかな笑みを湛えながら。
「あーいえばこーいう。全部否定してくれちゃって……もう反論のネタがないよ」
「自分の身長より高い甲板から飛び降りて何を今更『何もできない』ですか」
「副長さんレムリアがいじめます」
「あなたは素敵な女の子だって言ってるのに信じてくれないからです」
ちなみにレムリアは怒ってそう言っているわけではないが。
「真由さん」
セレネはレムリアを手のひらで制し、改めた。
「はい」
「すぐに回答とは申しません。ただ、一度真剣にわたくしたちの活動への参加を検討頂けませんか?わたくしたちには、貴女が、必要です」
セレネは真由の手をぎゅっと握った。
「必要……」
真由の瞳が揺らいだ。
「ええそうです。人を安心させる能力。それが、貴女の魔法です」
真由は絶句した。
その瞳見開いたまま。
彼女はセレネを見る。今まで即座に拭うことの多かった涙を、見せまいとしていたであろう涙を、ぼろぼろと溢れさせたまま。
(つづく)
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