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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-98-

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 途端、怖いような気持ちに襲われ震えが来る。友だ味方だと鼓舞していたが、実際何より必要だったのは、それこそ彼女の全てをまずは全て受け止める(二重表現ではない)、母のふくよかな胸、だったのではないか。
 自分は傷ついた彼女を引きずり回し、ド突きまくっていただけではないのか。“鬱にある人を励ますな”……最大の禁忌を自分もやらかしてしまったのではないか……。
「真由ちゃん!」
 レムリアは思わず彼女の名を呼んだ。
 今度は自分の目からぼろぼろ涙が出てくるが止められない。止める気も起こらない。
 真由がセレネの腕の中から自分に目を向け、そして驚いたように目を見開く。
「レムリア……ど、どうしたの?……私?。私が違う違う言い張ったから?」
「そうじゃなくて……私……今までとんでもない勘違いをしてて、あなたを傷つけ続けたんじゃないかって」
「なんで?なんで?そんなことない。嬉しかった。あいつらの前であめ玉を踏みつぶしたあの瞬間、レムリアは私を守ろうとしているって判った。だから私は、レムリアを裏切らないと誓った。傷ついて?とんでもない。あなたは“誰かといて安心出来る時間”っていうのを私にくれた。何もしなくていいって思える時間を私にくれた。あなたと一緒にいる時間がとても楽しい。一瞬一秒が愛おしい。“あいつら”ばかりが頭にあった日常に、あなたの声がある、笑顔がある、私のことをいつも考えてくれる。幸せだし贅沢だよ。だってあいつらのことなんか、もう、ああそんなことあったね、だもん。
 だからお願い、泣いたりしないで。あなたは間違ってなんかいやしない。あなたは私を救ってくれた。私叫べるよ。あなたは私の友達だって世界中に胸張って叫べるよ!」
 迸るような真由の言葉に、どう返していいのか判らなくて、レムリアはただ両の腕を広げた。
 しゃがみ込んでいた真由が立ち上がり、セレネの元を離れ、同様に腕を広げ、
 出会った夕暮れと同じように、互いに力一杯、腕の中に相手の身体を感じる。
 
(つづく)

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