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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-99-

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「もう違うって言わない。判ったよ。レムリアがそう言うならそうだと信じる。私はこれでいい。この船で、奇跡のような皆さんと一緒にやっていってもいいんだって信じるよ」
 真由が言う。レムリアはただ頷き、そしてただ、腕にぎゅっと力を込める。出せる目一杯で愛おしい友を抱きしめる。すると同じ力が友の腕から戻って来て、自分たちの身体を締め付け、結ぶ。
 息苦しいが心地いい。感じる拘束力が逆にいっそうそれを求める。彼女の鼓動を身体で直に感じ取る。自分の鼓動が彼女に伝わり、それが更に自分に戻って来ることすら今は判る。
 するとその時、何かが、手首でフッと切れ、外れた。
「あっ」
 それは真由も同様だったようである。二人は身体を離し、各々手首の異変に気付き、足元に目を向けた。
 重なるように落ちている、編まれた刺繍糸の切れ端。
「ミサンガですか」
 セレネが言い、微笑みながら立ち上がった。
 二人のミサンガ。
 エビフライの店の前で、二人同時に手首に巻いた、二人の願い。
 そのミサンガが切れるということ。
 真由は切れたミサンガを手にした。
 振り切るように涙を拭い去り、セレネを見上げる。
 見上げた顔の、瞳に光を与える、数多の流星。
 僅かな風になびく髪。
 レムリアは、真由の背丈が、セレネとさして変わらない長身であることに、今さらのように気付く。
「副長……さん」
「はい」
「お返事の件、ですが」
「急ぎませんよ?」
「はい。いや、お断り、という意味ではないのですが、ご承知の通り夜遊び中の身ですし、仮にお言葉に甘えるにせよ、父の許可は得たいと思いますので」
 真由の言葉に、セレネはゆっくりと頷いた。
「そうですね。まずはともあれお父様の元へ、がよろしいですね。……ああ、流星が……しかし今夜は本当に多いですね。眺めていると、しし座へ向かって吸い込まれて行くようです。では、日本へ船を向けますよ」
「はい」
 二人は答えた。
「ミッション・コンプリート」
 
(つづく)

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