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桜井優子失踪事件【75】

【終2】
 
「正直に言います。あなたのことを汚れた心の持ち主だ、と思ったこともありました。でも、それは私の心が汚れていて、真実が隠れて見えなかっただけ」
「それで間違っちゃないよ。自分汚れてるから。悪いこと言わないから不良に肩入れするな。そんなのマンガだけで充分だ」
「無垢の原石を守るために、周りに汚れと感じられそうなモノを付けただけ」
 無視するような登与の物言いに、桜井優子は一見怒ったようにも見える表情で彼女との間を詰めた。
「言っても聞かないようだねこの仔猫ちゃんは」
「ハイ聞く耳持ちません。ココロ直接感じますので」
 わたしはひとりぼっちなのになんでみんなとおなじをおしつけられなきゃならないの?
「ちっ!……あのな」
 桜井優子は舌打ちし、手のひらで登与の顎を取って引き寄せた。……さながら強引に口づけする時のように。
 そして。
 ちゅっ。
「あっ……」
「百合っ気はねーよ。そこまで言うなら好きにしていいってだけだ。ただ、一つだけ条件がある。オレについて見知ったコトを口に出すな」
「……はい!」
 登与は笑顔で頷いた。そういう表情されるとこの娘は本当に天使だ。
 ちなみに、理絵子は優子に抱きしめられる事が良くある。要するに彼女の主たる感情表現は〝ボディランゲージ〟なのだろう。
「……くそ、なんでおめえらそんなに優しいんだよ。突っ張ってらんなくなるじゃんかよ。普通ってのはありきたりなんだよ」
 桜井優子は視線を外して鉄馬にまたがった。
「だって友……」
「あーあー聞こえない聞こえない」
 バイクのエンジンを無闇に煽って声をかき消す。
 古代の道を下ると、赤色灯の集団は先の地蔵の所にあった。
 と、犬の鳴き声。
「コロ!?……じいちゃんにばあちゃん!……良枝(よしえ)さん」
 出迎えた人々と一匹を、桜井優子はバイクを降りて声に出した。
 良枝……桜井優子の母なる役割の人、桜井良枝。
「優子ちゃん良かった。良かったよ……やはり理絵子様は見つけて下さった」
 
(つづく)

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