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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-123-

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「レムリアそんなだし、彼女が目覚めた時、学校の先生がいるというのは逆効果な気がするから」
「ありがとう。あ、学校関係者の方はお控えください。申し訳ないですが、火に油を注ぐだけですので」
 それでも、責任上、一人行く必要があるという。
 だったら、女の子の病室にいても問題なさそうな存在。
「この学校で一番人気の女の先生は?」
 レムリアは一同を見回しながら訊いた。
「音楽の坂本(さかもと)先生」
 真由が即答。レムリアは頷いて救急車を飛び降り、事態を見ているだけ(しか、できないのであろう)の学年主任の電気メガホンを奪い、校舎に向かってその名を呼んだ。
「はい私ですが?」
 それこそ音楽室であろう、2階東端の部屋から、メガネを掛けた長い髪の女性が、幾人かの生徒と共に顔を出した。
「女子生徒の一番人気と見込んでお願い致します。心傷ついた女の子に付き添いで病院まで」
「……判った」
 救急車という事態もあろう。坂本教諭は即答し、程なく校庭へ駆けだしてきた。
「すいませんいきなり」
「いいわよ」
 後ろで隊員が市民病院の受け入れ許可が出た、と言った。救急車は坂本教諭の到着を待ち、ハッチドアを閉めて出発する。
 校門を出る。サイレン鳴らして隘路を走り、坂道を降り、一般車両をよけさせて幹線道路を行く。加減速はせわしなく、ゴツゴツと突き上げるような乗り心地であり、衝撃が外れた肩にいちいち障る。ストレッチャーの少女は念のためベルトで頭部を固定しているが、この衝撃では効果も半減ではあるまいか。そんな調子で数分走り、多車線道路同士の交差点で双方交通を止めて右折、名鉄線路の高架をくぐる。
 市民病院。コンクリートの3階建てだが、一見して古い建物であり、幾度か建て増ししているらしく、新旧の建屋が複雑に入り組んでいる様が遠くからでも見て取れる。鉄路を抱いた高架橋や、その先に霞む空港ビルの新ピカぶりとはあまりにも対照的。
 
(つづく)

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