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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-125-

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 医師は後頭部、脳底部を何度も往復するように動かし、更にズームしてじっと見つめた。脳と繋がる太い神経や血管まで結構しっかり見える。
「全くの無傷ですね。打ったのは後頭部?……ですか」
 医師は付け焼き刃のように丁寧語を付加した。子どもだけど看護師でプリンセスで……大体、初対面の大人の反応は、こんな感じで戸惑いの塊。
「ええ、私の目の前で」
「4階建ての屋上からねぇ。脳震盪、だけですよ。本当に。奇跡、なんて医師が軽々に口にすることではないが、あ、いや、ないですが、なるほどあなたをミラクル・プリンセスと呼びたくなる彼らの気持ちが判りますわ。倉田さん、どうだい?これで4階から落ちたってんだ」
 脳外科医師はモニタの画面を倉田医師に向け、角度を変えた。ちなみに、脳外科医の言った“彼ら”とは、ボランティア団体の医師達のことであろう。
「へぇ~……ああ、こりゃ綺麗だ。確かに本当に落ちたか?と訊きたくもなりますな。あ、いやいやその位置エネルギーの一部が、こうしてあなたの肩を抜いたんだろうから、ウソではないですな」
 倉田医師は言うと、看護師に痛み止めの注射と、三角巾を依頼し、白衣のポケットに手を突っ込んで再度レントゲンを覗き込んだ。
 看護師がそそくさやってきて三角巾を再調整。
「しかし信じられんな」
 倉田医師は首を傾げながら、首の骨を見る。ペン先で頸椎の骨をひとつひとつチェックするように。
「それでしたらCTとかは……」
 注射を受けながら、レムリアはどちらともなく訊いた。
「そこまで不要でしょう。とにかく何も問題ないんだ。出血もないし脳圧が上昇しているわけでもないしね。様子見でいいと思う……ますよ。病室を手配させるので同行の方々に報告をされてください」
 
(つづく)

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