グッバイ・レッド・ブリック・ロード-131-
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その習い事たくさんの娘が、言い出しっぺだという。
「あいつ、ムカつかね?って」
申し訳なさそうに、真由をチラッと見ながら。
「それが始まりか……」
そこで坂本教諭が戻ってきた。
再びレムリアの背後に立ち、肩に手を触れる。
バトン、戻す。坂本教諭は早速口を開く。
「ごめんなさいね嫌なことばかり訊いて。由香ちゃんあとひとつだけ。あなたたち、互いに悩みを打ち明けるとか、相談するとか、なかった?」
問う坂本教諭に、レムリアは下から手を伸ばし、教諭の顔の前に同じくチョコレートを出した。
「あら」
坂本教諭はひょいとつまんで口に運んだ。
口の中で転がす。若い娘が休憩時間にチョコを口にした気楽さ軽さ。
……そんな深刻に考える必要はないからね……という雰囲気作り。
すると、由香は少しの間考えた。そして、その“普通”の子が。
「兄貴や姉貴と比較されたことないか、って訊いてきたことがあるかな。でもそのくらい……」
「なるほどね」
坂本教諭はフッと溜め息混じりに言い、頷いた。そして自ら、壁に立てかけてあった付添用の折り畳みパイプイスを出し、座った。
「3人……か」
坂本教諭は腕組みした。
そこで。
「真由……ちゃん」
と呼んだのは由香。
「ん?」
「その……ごめんね」
言われた真由は口の中のチョコを左の頬から右の頬へ移して。
「いいよ。由香ちゃんにはその気なかったんだし。私だって同じ立場だったら多分、同じコトしたと思うよ」
「でもさ……考えたら怖く……」
由香がまたぞろ泣きだし、悔恨の念に襲われたか謝罪の語を何度も口にしながら真由にしがみつく。
そこで坂本教諭はレムリアの膝をつんつんと突き、再び目配せし、立ち上がった。今度は“来い”であろう。それは二人っきりにしよう、という気配りのようにも見えるが。
(つづく)
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