グッバイ・レッド・ブリック・ロード-136-
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由香がハッとしたような目を真由に向ける。
他方、祖母は口元が震えわななくばかりで声にならない。ただ、その目から溢れ出す輝き。
「あなたを……由香があなたを……」
真由に手を伸ばす。とめどないかの如き涙と共に、真由に手を伸ばす。
「おばあさま、でも、もうそれは過去のことです」
真由はきっぱりした口調で言い、自らに伸ばされた祖母の手を両手で包んだ。
「私たちはもう、友達だから……ね、由香ちゃん」
「え……」
その発言に、由香は真由に向けていた目を見開いた。
そしてそのまま、まばたきすらしない。由香の抱いた感情が、驚愕ショックとも言えるレベルであることにレムリアは気付いた。
“友達”という二文字が、時に重厚なまでの響きを持って、心を揺り動かす力があることを、レムリアは知っている。
自分としては単にそういう認識であるからそう口にしただけ、なのだが、相手にとっては至上の衝撃と感じる場合があることをレムリアは知っている。
……それは、それが生じるのは、相手が、その旨言われたこともなく、認識したこともない場合。
つまり由香に“友達”はいない。一緒に遊びに行く存在はあっても。
仮にその存在を“仲間”と書くことにしよう。坂本教諭は彼女に“仲間”について色々尋ねた。しかし由香は仲間の内面については坂本教諭以上の認識は持っていなかった。
果たしてそういう“仲間”は、“友達”の範疇であろうか?
「とも……」
由香が続く言葉を失ってしまう。
沈黙がしばし時間を支配する。“これ”が由香の心の突破口だとレムリアは感じている。彼女に友達と言える存在がいないこと。そのことと、安易な誘いに乗って真由に狼藉を働いたこと。
背景は?……まず挙がるのは、姓の異なるおばあさまが“保護者”であるという、家庭の環境。
(つづく)
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