グッバイ・レッド・ブリック・ロード-138-
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「……ごめんねみっともないとこ。私のことを友達だと言ってくれたの、あなたが初めてだったからさ」
由香は笑みを浮かべ、そして続けて
「普通友達づきあいってさ、誰かのウチ行って、今度は逆に呼んであげなくちゃいけなくて、相手のお母さんが奮発して手作りケーキなんか作ったりしてさ。でも……だから……ばあちゃんごめんなさい」
「そういうことだったんかい……」
積年の疑問が晴れた。そんな感じで祖母が口にした。
「こっちこそごめんな、ばあちゃん、そんなこと出来ないもんな……」
「ううん、ばあちゃんが謝る必要はないんだ。だってそれは私の勝手な思いこみだから。だってそんなの、単なる義理で義務じゃん。……そのことに今、真由ちゃんに友達って言われて、ハッと気付いたんだ」
その発言に、由香の祖母は目を見開いて孫娘を見た。
「自分のために一生懸命になってくれる……それが本当の友達なんだなって」
「そしてあなたは、私という存在に命ほどの責任を感じてくれた」
真由が言った。
「それは違う。単に同情を買いたかっただけ……多分」
「でも“悪い”と思ってくれてたってことじゃない。バレたら死にたくなったってのはそういうことでしょ?。つまりあなたは私のために一生懸命になってくれたんだよ。同情?理解者がいないと感じていただけじゃん」
それを聞いた由香の目から涙が一筋。ちなみに、こうした言い回しが“レムリアの流儀”であることは説明の必要もあるまい。
レムリアの傍らで坂本教諭が動こうとする。レムリアは右手を小さく動かして制する。この涙の意味は違う。
「なんで……なんでそこまで優しくしてくれるの?……だって私あなたにひどいことしてたんだよ?」
こう続いた由香の言葉に、坂本教諭の動き掛けた足が床に戻った。
(つづく)
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