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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-142-

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 その会話に由香が吹き出した。
「あはははは!」
 それはローティーンの娘が笑っているという、街中でよく見る図であるが。
 祖母が驚く顔で孫を見ていることにレムリアは気付く。それは恐らく、由香がこうして笑う姿を見たことがなかった……ということを意味すると思われる。
 すなわち。
 たった今、由香は解放された。レムリアは確信を得た。今、自分たちが花開かせているのは、良くある“女三人寄れば姦しい”そのまんま。あとはそう、真由が意図したように、自分が“必要とされている”実感が得られれば、彼女にとって過去は終わるであろう。
 楽しげな3人を微笑ましく見ている坂本教諭。まばたきすら忘れたように由香を見つめる祖母。
 と、病室ドアをノックする音あり。
 振り返ると脳外科医師。
「退院診察だが……その様子なら必要なさそうだな」
「ええ、後は彼女の意思次第です」
 レムリアは応じた。
「今何時?」
 由香が問う。病室の時計は、昼食には少し早いか、そのくらい。
「真由ちゃん」
 由香はベッドの上で正座し、真由に対した。
「……なに?」
「これから、ばあちゃんとあなたのうちへお邪魔させて下さい。私の家庭として、あなたの家庭にあなたに対するいろんな酷いことをきちんとお詫びしなくちゃならない」
「ああそうです。保護者としてあなたのお父様、お母様にお詫びを差し上げなくては」
 由香の言葉に祖母が慌てたように応じた。
「真っ先になすべきはそれでした。なのにわたくしと来たら……」
「え、でも済んだことですよ?」
「いえいえ、親にとって子は宝。かけがえのない何よりの宝。私たちはあなたという宝物を傷付けてしまったのです。傷そのものは治ったのかも知れません。でもそれならそれで、あなたを宝物と感じてらっしゃる方に、ご報告をいたさねばなりません」
「判りました」
 
(つづく)

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