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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-147-

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「普通の女の子ではないようね。“ジェームズ・ボンド子”さん……言いたくないなら言わなくていいけどさ」
 そろそろ、隠しておくのも限界のようではある。ただ、町じゅうを走り回るタクシー運転手の前で言うことではない。
 タクシーを先に降り、電話に衛星電波を捕まえさせる。
「学校側が教頭を真由ちゃん宅に寄越したのは、そのことを学校が知ったが故、という可能性もあるんです。先生には是非その辺も」
「学校があなたの想定通りの反応ならば、私もあなたの正体が判るってわけね」
「このウェストポーチの中身自体は、応急処置のゴチャゴチャと、子どもを籠絡するお菓子たっぷりですけどね。番号いいですか?0061……」
「あら、“007”じゃないの?」
「日本から掛ける場合の国際ローミングの番号です」
 ちなみに一連の二人の会話は著名なスパイ映画のキーワードに基づく。
「それじゃぁ」
 番号を双方携帯電話に記憶。バックして行くタクシーを見送り、レムリアは路地の坂道を上がって行った。
 作陶工房の庭に入る。真由らの姿は既に無く、しかし初見の男性が玄関前に立って、こちらを見ている。
 目が合うと、恭しいまでにぺこり。
 初老、老眼鏡、古びたスーツ……教頭であるとレムリアは判じた。
 そして自分に頭を下げた。それはすなわち、自分の身分の拠り所を学校が知った。あの王国名で発送された“感謝状”が学校にも届いたのである。ただ、自分が姫だ、までは、本名はさておき、書状にはないはず。
 はず。だがともあれ、王国を後ろ盾とする団体に所属する異邦人、であることは、開示されたわけだ。無論、意図して送らせた。王国名ではおろそかには扱えないだろうし、であるが故に“あんたらは女の子ひとり地獄を見させた”という事実の風化防止につながるからだ。こういうことは、引き継いで行ってもらわないと、時間線の彼方に忘れ去られる。学校などという、人の出入りの激しい組織では尚のこと。
 
(つづく)

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