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【元日スペシャル】アルゴ号を該非判定する【お話じゃないよ】

★冒頭の断り書き
 
この記事で扱っている判定対象貨物は、ファンタジー物語に出て来る架空の宇宙船です。「やり方・手順」だけは参考になるよう努力しましたが、なにぶん実在のものではないので念のため。どうでもいいけど2011年春以降の大卒って東★芝機械事件の後の生まれなんだよな。なんだかな。てゆーか「該非判定のやり方」で検索するとこのページが表示されるとは何事だ。仕事しろ>経産省とCISTEC
 
●冒頭の能書き
 
いつもレムリアと遊んでいただいてありがとうございます。
さてこのシリーズ「毎日更新」しておりますが、その際「話数」と「作成日」の数値をなるべく一致させようという誰にも理解されない無駄な努力をしております。このため「31日」が2ヶ月連続する場合、話数が先行し「……あれ?今日は何話目で更新するだっけ」と、こうなります。そこでこの1月1日だけは1回休んでこのズレの調整を行うと共に、浮かれ気分の正月にファンタジー物語のブログにあるまじき法律と技術ベースの殺伐を極めた記事を書こうという人心を逆手に取った暴挙でございます。
 
●該非判定って何だ?
 
話中にチラチラ出してますが、兵器開発や核開発に利用可能な物資や技術は、それらに悪用されることを防ぐため、国際的な協調を取って輸出や技術提供の管理を行っています。これを「安全保障輸出管理」と言います。
その代表的な方法は、具体的な物資や技術を採り上げてリストを作成し、そこに載っているモノを輸出したりする場合は、然るべき許諾機関の輸出許可を取らせる、というものです。この考え方を「リスト規制」と言います。
該非判定とは、輸出しようとしている物資や、提供しようとしている技術が、このリストに記載されているかどうかを調べ、載ってる(該当)載ってない(非該当)を判定することです。この該非判定をハイテクの塊アルゴ号に対してガチでやってみようというわけです。なお、そのようなリストは国際協調の理念の通り各国で持っていますが、ここでは日本の「外国為替及び外国貿易法」に基づき、経済産業省が用意しているリストである「輸出貿易管理令別表第1」(2010年12月現在)に従って行います。てなわけで相原、テメエの職場にも法令集くらいあるだろうが。やってみろ。
 
基本:アルゴ号は光子ロケットエンジンを備えた恒星間航行用宇宙船である
 
別表1 13項「推進装置」
(2)人工衛星その他の宇宙開発用の飛翔体 又は その部分品
(※「又は」前後のスペースは原文には無い。判りやすくするために付けた)
 
アルゴ号は宇宙船であり、従って13項(2)該当である。
「該非判定終了だよ」
 
……待て待て待て。
「え?」
間違っちゃいないが不十分だろう。
 
●該非判定はどこまでバラして行う必要があるか
 
・貨物の部品であって、その貨物の主要な要素となっているもの(主要な要素とは全体の価格の10%以上)
・貨物の部品で、分離できるもの(はんだ付けは分離しがたいと考える)
・貨物の部品で、他の貨物に組み込まれているが、部品としてその状態でも使える
(「輸出貿易管理令の運用について」より主旨抜粋)
 
すなわち
・簡単に分けられる部品は分けて
・部品でも単体で動かせるなら分けて
・その部品が全体の価格の10%以上に値するならやれ
 
アルゴ号をこの視点でバラすと?
・銃器とスコープ、その駆動用燃料電池
・耐環境ウェア
・耳栓形PSC
・セイル(外れる。太陽電池でもある)
・生命保持ユニット(船倉にセットしてあるだけ。引き出して取り外せる。電源あれば単体で動く)
 
いや個室の備品とかレムリアのラジオCDとかセレネさんの観葉植物とかいらんから。
さてここで「銃器」と「ウェア」は他と扱いを変えるべきであろう。何故ならこれらはプロジェクト用に開発されたものではあるが、アルゴ号に積んであるだけで、アルゴ号の一部でも何でもないからだ。それぞれ単独の貨物として判定する必要がある。
 
「PSC」は船の制御と乗員コミュニケーションに使うが、基本「通信機」であり、船が近傍にいないと何の役にも立たない(耳栓……ノイズキャンセラとしては使えるらしい)。なので、船の部分品と考え、しかも光子ロケットなんかに比べてどう考えても「主要な部品」とは思えないので判定の対象外とする。
 
「セイル」は基本機能は宇宙推進用の帆であり太陽電池である。膜や翼として使ったこともあるが、それらは強度的に耐えうるってだけで、工具の頭でクギを打っちゃうのと変わらないのでそういう方向からの判定はしない。なお、帆や電池の機能はアルゴ号の有無に依存しないので単体で判定する。
 
「生命保持ユニット」も単体で作動するので単体で判定する。
 
●判定作業
 
1.銃器
本体とスコープに分けられる。スコープは共通で暗視装置・ビデオカメラ・船との無線通信機能を持ち、暗視装置として単独動作が可能
・レーザガン→ビーム→指向性エネルギー兵器
1項(5)指向性エネルギー兵器又はその部分品
・レールガン本体→銃砲
・レールガンの弾(アルミのブロック)→銃砲弾
1項(1)銃砲若しくはこれに用いる銃砲弾(発光又は発煙のために用いるものを含む。)若しくはこれらの附属品又はこれらの部分品
・プラズマガン→指向性エネルギー兵器(火の玉はエネルギーの1形態)
1項(5)指向性エネルギー兵器又はその部分品
・FEL→波長可変レーザ→指向性エネルギー兵器
1項(5)指向性エネルギー兵器又はその部分品
 
2.耐環境ウェア
宇宙服・潜水服・放射線防護服・防弾着・化学及び生物兵器環境防護服
1項(11)装甲板、軍用ヘルメット若しくは防弾衣又はこれらの部分品
1項(13)軍用の細菌製剤、化学製剤若しくは放射性製剤又はこれらの散布、防護、浄化、探知若しくは識別のための装置若しくはその部分品
14項(5)・貨物等省令第13条5項・第一号 閉鎖回路式自給式潜水用具(非磁性材料によって製造されたもの)

3.セイル
宇宙推進用の帆であり太陽電池
13項(2)・貨物等省令第12条第十号ロ 人工衛星その他の宇宙開発用の飛しょう体又はその部分品(※材料に関する規定も見ている)
7項(6)・貨物等省令第6条第七号の二 太陽電池セル、セル連結保護ガラス集成品、太陽電池パネル又は太陽光アレーであって、宇宙用に設計したもののうち、エア・マス・ゼロで1,367ワット毎平方メートルの照射を受けたときの最小平均変換効率が、28度の動作温度において20パーセントを超えるもの

4.生命保持ユニット
BSL(バイオセイフティレベル)3クラス緊急隔離機構。
3の2項(2)1イ 物理的封じ込めのレベルがP3又はP4である施設用の装置
(※BSL3とはP3のこと)

それと、船自体は潜水機能も有するので、

1.船本体
宇宙船であり潜水艇
13項(2)人工衛星その他の宇宙開発用の飛翔体
15項(8)・貨物等省令第14条第九号イ(二)有人式の潜水艇であって、1,000メートルを超える水深で使用することができるように設計したもの

ぜーはーぜーはー。ああ、疲れた。

●おわりに
 
極秘任務、世界一の列車に乗れ。…物語上の演出のように見えますが、このように「該当品」のカタマリなわけで、真剣に存在を知られたら安全保障的にマズいわけです。ちなみに、ここでは日本の法律を使いましたが、この外為法の規制は、日本で作った物だろうが、外国で作った物だろうが「日本から持ち出す」時に適用されます。ですので、レムリア乗せて自由に行き来してますが、これは本来「外為法違反」なのです。そして直接は触れませんでしたが、相原がマニュアルに基づき、レムリアにあれこれ教えるのは、「非居住者に対する技術提供」という観点でやはり許可(役務取引許可えきむとりひききょか)が必要なのです。

ハイ、元日のっけからおバカな企みにお付き合い下さりありがとうございました。なお別記予定の通り2011年は来るべき2012年の世界滅亡(笑)に間に合わすべく、彼女の話の移植を進めます。
本年もレムリアと船の面々とついでに相原もよろしくお願いします。m(_ _)m

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