グッバイ・レッド・ブリック・ロード-153-
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しかし、その光明は、失敗の大きさに比べればほんのわずかであって、おかげで?この新たな失敗の理由を指摘し、対処をお願いしなくてはならない。
学校が真由に謝るという主目的がウヤムヤになってしまった気がするが、この失敗はそれより優先憂慮されるべきと判断する。
すなわち。
「先生」
レムリアは改めた。
担任が、叱られている子どものように、そうっと顔を上げる。
「は、何でしょう……」
「あなたがやらかしてしまったことを端的に申し上げます。あなたは、あなたのクラスに、相互不信と疑心暗鬼のタネをばらまいたのです」
担任はうつむいた。
「誰なの、あいつなの、あの子仲間じゃないの?……そんな疑い。或いは、巻き込まれるのを恐れて、そうとは知らなかった生徒までが口をつぐんでしまう。真由ちゃんと距離を取ろうとする。そんな現象が出現するでしょう。加えて由香ちゃんの事件の直後です。当然結びつけられる。由香ちゃんが言いつけたのだ、とね。あなたは彼女たちを登校不可能な状態に追い込んでしまったのですよ」
レムリアは言った。糾弾調になってしまうが、どうにも仕方がない。
担任は最早、うなだれたまま、小さく頷くだけ。
「謝罪に見えたと申されましたね。それどころじゃありません。そして……あなたの教員としての力量を試される時が来たと私は思うのですが如何でしょうか」
「え?」
担任は、顔を上げ、キョトン。
それは今や、担任がレムリアの“仰せのままに”“指示命令待ち”になりつつあることを示していようか。とにかくこれまで、レムリアは担任のやることなすこと全て否定して来た。現在見ている担任の反応は、そうした否定が少々度を越し、担任自らの意志・考えを削ぐに至った可能性が否定できない。
(つづく)
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