グッバイ・レッド・ブリック・ロード-154-
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しかし、たった今も、これからも、クラスを導くのは教員なのだ。なのにそれでは困る。
自分の知る限り、窮地への挑戦は人を伸ばす。
「と、申されますと?」
果たして担任はこう返した。案の定、自ら考えるという方向性の欠如を感じる。
「バカ、お前の失敗が2次的なトラブルを呼ぶのを未然に防止しろって意味だ」
教頭が口を挟んだ。さすがに、組織の管理側の一角、その肩書きはダテではないと見る。
担任だけならさておき、坂本教諭もある。クラス学校の“2次被害”防止は預けても良いかも知れぬ。
ただ、真由についての発言は、もはや無に帰すことは出来ない。
「そういうことです。よろしくお願いします。それで、お願いが一つあります」
レムリアは教員双方を交互に見て言った。
「はい」
「何でございましょうか」
「この状態で二人が登校することは、更に隠れた形で二人に対して狼藉、平たく言えば仕返しが行われる可能性を指摘できます。少なくともコトが落ち着くまで出席停止扱いにできないでしょうか」
「私の一存では今ここで……」
教頭が頭を掻く。まぁ、そうだろう。お役所的な手続きと、然るべき書類が必要……容易に想像が付く。
学校は子どもの“心”を中心に据えた機関ではない。法に則り教科書の中身を“伝える”ことが主目的だ。
「医師の診断書等公的証明があればよろしいですか?」
レムリアは訊いた。無論、心当たりがあるから言える。ちなみに、先に書いたホスピタルクラウン活動の端緒になったのは、彼女が東京都内の著名な大学病院に入院したこと。
……銃で撃たれたのである。別の話であり、ここではこれ以上触れないが、この病院の心療内科医師なら知り合いである。
「はい。それならスムーズに……」
(つづく)
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