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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-161-

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「あ、はい。二つめは姫さん、あなたの感謝状がヒント。認知させること。あなたはあれを“おいそれと扱えない”グレードの書類であると承知の上で送ったのだと思う。それが……あなたの本意と一致してるかどうか判らないけど、学校を動かしたのは確かなわけ。要するに隠れていたものが目立ったから動かざるを得なかった。一石を投じたってヤツよ。その類推でね、やっぱハッキリ言っちゃうけど目立たせたいのあなた達を。有名人になればいつも注目を浴びるからそう簡単に……」
「それは逆効果です」
 坂本教諭の言葉を遮ってレムリアは言い、その目を真っ直ぐ見返した。
「承伏できない?」
「ええ」
 レムリアは頷いた。何のことはない。他ならぬそれ……“目立った”のが原因、と思われるのが、自分だからだ。
 それに、そういう方法はそもそも一般解にならない。隠れているからいけない、のは確かだが、認識させることは目立たせることとは違う。
 目立つ、では十分条件を通り越して副作用を招きかねない。
 真由が言う。
「多分、ある意味目立ったからこそ鼻についたのが私だったと思うんです」
「なるほど……」
 坂本教諭は軽いため息を交えて腕組みし、
「じゃぁ……仮に、仮によ。発表会やるにしてもその後に十全の注意を払う必要があるわけね。でね、ついでだから3つめの理由も聞いて。真由ちゃん、あなたがジャン・バルジャンを赦せる司祭になれたというその変化……ごめんなさい、成長をみんなに見せたいの。なんでそうなったか。あなた……気付いてないかも知れないけど、目の輝き方が他の子と違うのよ。オーラが違う、と言った方が逆に判りやすいかな?多分、みんなはあなたを別人かと錯覚すると思う。顔つきまで前と変わって見えるの」
「え?……」
 真由は少し照れたように自分を指差した。傍らで父親が頷いているが、恐らく真由は気付いていない。
 
(つづく)

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