« グッバイ・レッド・ブリック・ロード-161- | トップページ | グッバイ・レッド・ブリック・ロード-163- »

グッバイ・レッド・ブリック・ロード-162-

←前へ次へ→
 
「いじめるって人格否定行為だと思うの。それこそジャン・バルジャンの立場の方。彼を変えたのは何か。彼を迎え入れ、認めた司祭の存在があったから。……あなたにも同じことが訪れたんじゃないかと思うの。つまり“誰かの味方になるのは素敵なことだ”と伝えたいわけ。今の子ども達ってそこが抜けてるから、こういう問題が起こるのよ。マンガのガキ大将だっていざというときは弱い子の味方になるでしょ?でも今はそれがない。一緒になって弱い者探して拳振り上げる」
 坂本教諭は熱く論を展開した。
 その論は確かである。確かに、真由に“一夜会わずんば……”的刮目をもたらしたのは、真由を見守り、その味方となった船の連中であり、真由自身誰かの味方になるという体験を経たからだ。
 だが、だがそれが、学校の発表会如きで生徒達に伝わるか。強制的に聞かせる場で受け止めてもらえるか。
 “味方にならない”のは、“自分だけで精一杯”という、今の子ども達を取り巻く社会環境もあるのではないのか。それこそ、“燃え尽き予備軍”の娘を見舞った状況のように。
「先生。この結論預からせて頂けませんか?」
 斯くしてレムリアは言った。
「だめ?」
「先送りです。自己認識の出来ていない生徒がまだ二人いるわけですし。目立つゆえのリスクに対しても超然となれるか、と考えた時、負った傷はあまりにも深い」
 現に自分自身、未だ祖国で暮らそうとは思わない。むしろ理解者はこの国にいる位。
「判った。性急すぎた結論だったね。ごめんね。取り消します。じゃぁ今日はこの辺で。この後由香ちゃん所も寄って行くつもり。で?出発はいつ?」
「さっきネゴとアポが取れまして、明朝になるかと。まず東京へ出ます」
「そう」
 
(つづく)

|

« グッバイ・レッド・ブリック・ロード-161- | トップページ | グッバイ・レッド・ブリック・ロード-163- »

小説」カテゴリの記事

小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: グッバイ・レッド・ブリック・ロード-162-:

« グッバイ・レッド・ブリック・ロード-161- | トップページ | グッバイ・レッド・ブリック・ロード-163- »