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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-164-

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 そして日々増えるミサンガは、他ならぬ二人自身にもポジティブなエネルギーを与えたようだ。
 喜んでもらえること、必要とされること。
 その心理に与える効能の程は、改めて書くまでもあるまい。移動して演目……の繰り返しは日々疲労が蓄積されて行くはずだが、二人の瞳は疲労の色どころか、日を追うごとに逆に輝きを強めて行った。
「そしたら、ばあちゃんも何かやってみようかなって。地元の老人会と介護施設との交流会みたいなのがあるみたい。同じ年代同士楽しみましょう、みたいな」
 由香は携帯電話のメール画面を見ながら言った。二人とも日々の報告を携帯メールで保護者と坂本教諭、そして担任に飛ばしている。二人の心の変化の過程は文面の変化に現れていよう。由香の祖母は、その変化に絆されたようだ。
 そんな、行程のほぼ半ば。
 “兆候”は由香の携帯にメールの形で着信した。
『今どこだ?』
 クラスの友人のひとりからであるという。加害者グループにも真由にも関係ない。
 1時間後。
『やべぇぞお前』
『由香、今どこ?』
 後者は“燃え尽き予備軍”の娘であった。
 以下次第に間隔を狭めつつ、次々にメールが届き始める。
『お前ひでーな』
『お前らのせいだぞ』
『何でオレら?あ?何でオマエラのせいでオレら?』
『チクってんじゃねーぞ』
 いずれも初見のアドレスであるという。レムリアが「逆探知みたいなコト出来ないか」と、東京に訊いたら、ドメインからしてフリーメールで、いつでも誰でもすぐ取れる、捨てアドレスだろう、という回答であった。
 すなわち、アドレスから発信者を特定することは不可能。先の“言い捨て”である。
 そして。
『氏ね』
 死ねの意である。露骨に“死”と書くと誹謗中傷の証拠になるので変えているのだ。
 
(つづく)

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