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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-167-

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 レムリアは合点が行った。収斂、の内容。
 “真由いじめ事件”の犯人は休んだ二人とその仲間である……担任の蒔いた種は携帯メールで駆けめぐり、由香のみならず、加害者4人に対する“言葉による集団暴行”として狂い咲いたのだ。
 届いたメールに見られた文言「お前らのせいだぞ」「何でオレら?」の裏にあるもの。
 この過程に感じる、事件に直接は無関係……傍観していたクラスメート達の思い。
 “ひょっとすると”が、“かもしれない”へ。“かもしれない”が、“そうらしい”へ。“そうらしい”が、“そうなんだ”。
 そして。
 
 “こいつらのせいで自分たちまで疑われたってことだろ?”。
 
 こうして傍観者が加害者に変わり、加害者が被害者として集中攻撃を受ける。それこそ“いじめ”である。何のことはない。真由と同様、ネットを介して短時間でコンセンサスが出来上がったのだ。後で東京に話したら、このメカニズムはそういうことがブログやネット掲示板で生じる“炎上”と同じだと言った。“炎上”とは自分のページが自分に対する誹謗中傷と罵詈雑言で溢れかえって見るに堪えない状況となり、閉鎖でもしないと収拾がつかなくなる状況を指す。その様あたかも大火で手が付けられない状態に似て、というわけだ。当然、本人は深く傷つき、その傷の深さと治癒の遅さは、実社会で集団から人格を否定されるいじめの場合と何ら変わらない。いやむしろ深いかも知れない。なぜならそれは、ネットという電子世界のしかし“公共の場”に、文字という形として“残っている”からだ。メールで攻撃されるのも然り。言った瞬間以外は実態の無い“声”と、消えない“文字”では、同じ“言葉”であってもその傷を与えるポテンシャルは異なる。文字はそこにある限り永久磁石の磁力のように力を及ぼし続ける。そして磁石は尖った無数の針を次々磁化して吸い寄せ、その針は細いがしかし深く突き刺さる。
 
(つづく)

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