« グッバイ・レッド・ブリック・ロード-167- | トップページ | グッバイ・レッド・ブリック・ロード-169- »

グッバイ・レッド・ブリック・ロード-168-

←前へ次へ→
 
 加えて、普通なら経過によってある程度は癒してくれる“時間”すらも、この場合だけは、決して味方になってくれない。
「明日1番で飛んで帰ります」
 レムリアは涙混じりの声で言った。
 加害者が被害者に逆転したことへの同情ではない。
 この“集団ヒステリー”が生じた背後に見え隠れするのは、のべつ攻撃目標を探す飢えたハイエナのような生徒達の存在だ。
 心が抑圧されているから、攻撃に解放を見出すのである。ボロボロにすり切れ、すさんだ挙げ句、それこそ尖った針のようになったみんなの心。そうしてしまったのは誰?その原因は何?
 真由の父の言う修羅場……戦場や被災地を目の当たりにしている自分の方が、よほど『のほほん』としているではないか。
 

16

 
 翌日。
 “主犯”の二人は学校を休んだ。幼子に平然と……が休んだのである。
 その極端な変容は“豹変”と言っても良いかも知れぬ。もちろん実は仮病的であり、真相は単に同情を引くため、など、底意の存在も疑えなくはない。
 しかし、朝早く例の親から電話があり“約束通り押しかけるのでよろしく”と念押しされたあたり、底意よりは凄まじい言葉の暴力によって登校不能に追い込まれたと考えるのが自然であろう。
 さすがに、傷ついたのである。
 ……そう思いたい。レムリアとしては。
 そして、そうだとしたら。
「判りました。10時に中部空港着の便なので……時間は一応は10時40分の約束なんですね。だとすればギリギリくらいですかね。では後ほど……」
 レムリアは坂本教諭への電話を切ると、即座にシスターの携帯に発呼した。常滑へ向かってもらうつもりである。
「福岡……ですか」
 しかし仕方ないだろう。今現在恐ろしいのは、その彼女の反応である。“燃え尽き予備軍”の娘は心が壊れてしまった。極端にサディスティックな傾向を示していたこの娘が、どんな極端な反動を示すか。
 
(つづく)

|

« グッバイ・レッド・ブリック・ロード-167- | トップページ | グッバイ・レッド・ブリック・ロード-169- »

小説」カテゴリの記事

小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: グッバイ・レッド・ブリック・ロード-168-:

« グッバイ・レッド・ブリック・ロード-167- | トップページ | グッバイ・レッド・ブリック・ロード-169- »