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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-170-

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 用向きを、門脇で落ち葉掃除の用務員氏に向かって投げつけ、用務員氏が何か言う前に教職員用昇降口から上がり込む。それは、内部を見知った者の迷いの無い動きであり、この“母親”が幾度と無く学校へ訪れていることを示した。
 母親、は階段を昇って職員室・校長室方向へと向かう。その間に用務員氏から連絡が回り、職員室の手の空いた教員が応対に出、階段を上ってきた母親、を迎える。他方音楽室からは坂本教諭が走り出し、その背後で自習と聞かされてざわめく生徒達。
 以下追って坂本教諭がレムリアに“聞かせた”一部始終である。
 坂本教諭が応接室の戸を開くと、母親、は応接セットのソファにあり、まず、空っぽの湯飲み茶碗をテーブルにタン、と強い音を立てて置き、次いで鼈甲の眼鏡の奥から、坂本教諭を睥睨した。
「あんたが坂本さん?娘に何をしたんですか?いじめっ子扱いされたと泣きじゃくってますのよ?」
 坂本教諭が戸を閉める前から、母親はキンキンと響く声でまくし立てた。
「お待たせ致しました。坂本と申します」
 坂本教諭は即答せず、まずは落ち着いた動きで自己紹介して戸を閉め、テーブルまで歩き、タイトスカートの裾にスッと手を添え、母親の向かいのソファに腰を下ろした。
 そして、伏し目にしていた目線を、真っ直ぐに母親、に向けて。
 母親、の刺さり込んでくる目線を、真っ直ぐに受けて。
「お問い合わせの件ですが。調査結果をご報告申し上げます。そんな甘いモノではありません。あなたの娘さんは傷害事件の加害者です」
 教諭坂本はのっけからそう応じた。これをカウンターを見舞った、と書いたら、下賤な表現であろうか。
 対し母親、はカッと目を見開く。
「か、加害者!?そんな犯罪みたいな……。証拠。そうよ、証拠はあるの?証拠は!」
 
(つづく)

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