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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-176-

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 遠く聞こえてくる休み時間のざわめき。
「お宅にお友達が見えたことありますか?」
 果たして坂本は、言った。
「え……」
「お嬢様のお友達の名前をご存じですか?どこに住んでるかご存じで……」
「何の関係があるのよ!」
「上位の学校を目指し、習い事をし……」
 坂本はひとりごとを呟くように、思いつく言葉をそのまま紡ぐように、壁の方を向いて。
「ちょっと校長!この女頭おかしいんじゃないですか?」
「お子さん愛してますか?」
 目線を戻してのその問いに、母親は敏感に振り返った。
「当たり前でしょ!」
「でしたら、ウチの子がするはずない、ではなく、ウチの子はこう言ってますが学校の認識は如何ですか?と尋ねて頂いた方が、娘さんの意志も反映されておりますし、娘さんも自分の意志が伝わってると納得されると思いますが?」
「そんなこと尋ねるまでもない。娘は私を信じてますから」
「では何で今回このように攻撃を受けたのでしょう」
「どういう意味よ!」
「娘さんはお母様を信じて今まで14年間過ごしてこられた。なのに攻撃を受けたわけです」
「失礼だっ!」
 母親、は、傍ら応接室ドアを拳でバン、と叩いた。
「私が攻撃の原因だと?……もう結構!名誉毀損で訴えます」
 その言に校長は目を剥いたが。
 坂本は微動だにせず。
「失礼ですが誰を訴えると……」
「あんたに決まってるでしょう!」
「誰の名誉をわたくしが毀損したと?」
「盗人猛々しい!失礼な言動を十重二十重に……」
「では聞き返してみますか?」
 坂本は言うと、着ていたスーツの内ポケットからMDレコーダを出して机上に置き、襟裏のピンマイクを外した。
「録音……」
「ええ。校長への報告に当たっては私情で結論に偏りが生じてはいけません。追ってお母様に本日の内容について議事録をお送りし、疑義無きことをご確認頂く必要もあると考え……」
 
(つづく)

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