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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-179-

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「弱みにつけ込んで困らせる……君のしたことは、“いじめ”そのものだからだよ」
 坂本教諭は彼の坊主頭を指先で小突き、ケアを養護教諭に依頼し、退室する。
 腕時計を見やり、レムリアにホットライン。飛行機が正しく降りれば、彼女は既に常滑市内。
 電話は繋がった。
「……ということで、家を飛び出したらしいの」
「承知しました」
 レムリアは電話を切ると、止めていた自転車を再びこぎ出し、速度を上げ、信号を左折、海の方向へ針路を取った。風圧でカーディガンがまくれ上がってかなり寒いが、直す時間の1秒すらも今は惜しい。
Sn3n0097
(坂がきついので電ちゃり向き@常滑駅前by作者)
 
 そして自転車を降り、立っているのは名鉄常滑線……駅名は伏す……上り名古屋方面行きプラットホーム。そこは複線の線路を挟んで上下線それぞれにプラットホームが配された、その筋の用語で“対向式”と呼ばれるホーム構造。上下のホームは線路をまたぐ跨線橋で結ばれている。その跨線橋は新しく、含めて全体が近年リニューアルされたようで、設備は清潔で現代的だ。都市近郊の雰囲気と言って良く、実際周囲には住宅もかなりある。しかし、ホームに乗客とおぼしき人影は見えず、駅員の姿もない。駅員無配置……いわゆる無人駅なのだ。時刻表を見ると止まるのは普通列車のみで30分に一本。従い、悠長にホームで待つ乗客は殆どおらず、列車のないこの時間帯、ホームはほぼ無人。
 数分。
 まず駅の南方、常滑方向で。次いで少々のタイムラグをもって北方、名古屋方向で、踏切が順次作動を開始する。警報音が鳴り、赤色灯が交互点滅し、遮断機が下り、降りる前にと速度を上げてクルマが行き過ぎ、自動放送による通過列車のアナウンスが流れる。
 ほぼ無人……ゼロではない。“注意”の表示が点滅する液晶案内板の下、ジャージ姿の少女が一名。
 
(つづく)


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