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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-183-

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 手足伸びきって教科書なりの情報も持っているが、人格の発達段階は幼子のまま。もちろん、原因は母親以外の何ものでもあるまい。
 そんな幼子に傷つくことや死を理解させる?……時速100キロの鉄の塊に人体ぶつかったら水風船が割れるに等しいよ……人体だと認識できる部分がわずかでも残っていれば上等だよ……。言ったところで、『きょとん』であろう。もっと残虐グロテスクなもの言いも出来る。そんな場面を戦乱災害の地で目にしたこともある。その有様は人間が生物であることすら否定するかのような、凄惨なものだ。
 でもこの彼女には理解できまい。著しい損壊を受けた人体の写真をメールで交換など、良く聞く話だ。
 どうしてくれようか。見つめて……彼女にとっては睨んで、であろうが……いるうちに、少女の顔色が悪くなった。
 さながら乾きかけた水たまりの泥。
「う……」
 事態の予測が付いたので手を離し、そのままホーム端にかがみ込ませる。保線係の方ごめんなさい。
 少女が線路敷きに嘔吐する。
「我慢したら胃腸を壊す。全部出しなさい」
 背中をさすってやる。但し、別にそうした画像をテレパシーで送り込んでやったわけではない。
 叱られて胃が縮むような経験をした……誰しも一度は覚えのあることだろう。我が子を激しく叱り飛ばしたら最前の食事を吐いてしまい狼狽した……そんな親御さんもおいでであろう。
 レムリアの取った行動は、この少女に取り、類似の心身相関現象を惹起する過去経験のない激しいストレスだったのだ。レムリアが何も言わずじっと見つめる時間が長かったせいもあると思われる。
 少女にとってカーディガンの娘は、己れの“暴力のルール”に応じない上、己れにとって内容の理解も出来なければ、相手がどんな行動に出るか予測も出来ない。或いは、真由に対する一連の狼藉に対し“苛烈な暴力的仕返し”を予測したのかも知れない。昨夜来の蓄積も手伝っていよう。最も、イタズラ電話の時点で精神的に“切れて”しまったからこそ、ここに足を向けたのだろうが。
 
(つづく)

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