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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-188-

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18

 
 ステレオイヤホン、“ATH-CM700”から、割れんばかりの悲鳴が漏れ出し、レムリアが顔を顰めたところで、坂本教諭はテーブル上のMDをストップさせた。
 レムリアは閉じていた目を開き、左右の耳からアルミ光沢のイヤホンを外す。
「どう?」
 問われて、レムリアはまず冷めたカフェオレを一口含んだ。
 午後の喫茶店。客は他に無し。もちろん真由達もいない。坂本教諭は“学校に無関係”との条件で応接室の録音を聞かせたのだ。最も、電話でのやりとりで母親、の何たるかは大体把握しており、新たな感慨はない。強いて言うなら。
「校長、おいしいトコ出てきておいしいトコ持ってったなぁ」
「あっはっは」
 坂本教諭は思わずとばかり軽く笑って、しかし、
「こら」
 と、額を指先で小突くようなジェスチャー。
「確かに殺し文句。でも、校長という最高責任者が言ったからこそ、それだけの説得力を持つのよ。それに、この言葉は、入れ知恵ではなく、校長の長い経験に裏打ちされた、教育者の真理や結論というものを背景に生み出された言葉。だから、重みがある。頭の中の使ってるデータは古いけれど、真理は時代に左右されない。その点で私が言っても軽く聞こえたでしょう。おいしいところ、はさすがに穿ちすぎだと思うよ」
「……失礼しました」
「謝らなくていいよ、素直な意見として拝聴。しかもこれ、とても含蓄のある言い回しよ。あなたが言いたいのは『子どもから大人になる時期です』云々のくだりでしょ?。ここね、例えば、それこそあなた。何かこう“ブッ壊してやりてぇ”って思ったことない?」
「えっ?」
 意表を突かれた問いだ。と、レムリアは思うと同時に、その真意を把握した。
 
(つづく)

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