グッバイ・レッド・ブリック・ロード-192-
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その言い返しに坂本教諭はまず失笑し、
「そうなのよ。責任背負っちゃう。だからどうしようかと思ってね」
表情に深刻を浮かべる。対しレムリアは少しの笑み。
「だったら、当の本人達の意見聞いてみたら如何ですか?」
「え。北海道に……」
「一緒に戻ってきました。放ったらかしに出来る娘(こ)達じゃありませんから」
彼女たちが常滑の異変に素知らぬ顔できるタイプではない。……まぁ、この女(ひと)にはそこまで言う必要もあるまい。
「生徒に頼るようじゃダメ学校ね」
坂本教諭は自嘲するように言ったが。
「そうでしょうか?それこそ言いなりの子どもから主体性持って動く人間へと成長する時期ですから、自治的な動きが芽生えても別に不思議ではない気がしますが。それに学校の主役は生徒ですよ」
この発言に坂本教諭は一瞬目を見開き、そしてフッと微笑んだ。
「『我々はその時期の存在を認め、尊重し、言葉と気持ちに耳を傾ける義務があるのです』……フフ、出来てないね。で?二人は今どこに?」
「真由ちゃんちの工房で待ってるはずです」
「すぐだね。行きましょうか。あ、でも作陶のお邪魔に……」
「そうなると思ってあらかじめ話してあります」
「……そこまでされるとエスパーかと思う」
「あっはっは」
レムリアは笑って応じた。……ウソツキにはなりたくないから否定はしません。
喫茶店を出て歩く。入っていた店は何のことはない、例の一番最初ここに来た時“違和感”を覚えたタイプの店のひとつだ。
「異分子を排除したい、と思うのは人間の本能なんでしょうかね」
レムリアは先立って歩きながら、その時の自分を思い起こし、尋ねた。
……真由が受けたのは“よそ者いじめ”である。なぜそれが生じたか、自分が抱いたあの日の違和感が、それを解くカギのひとつのような気がする。
(つづく)
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