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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-194-

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 坂本教諭の目線を追う。斜面に並ぶ古い家並み、太陽光の下に伸びる高架線路、開発途上の埋め立て地。
「……そうね」
 坂本教諭はひとこと言い、
「初動、が大事よね。これから色んなところから色んな子がこの町に越してくる。『みんなに新しいお友達を紹介します』。この時の教員の態度が生徒に対するイメージ先入観を植え付ける。この町は15歳以下人口より65歳以上人口の方が多い。つまり、今まで変化無くただ時間が過ぎて歳を重ねた。結果人口は減少の一途を辿ってきた。子ども達自体も小さい頃からみんな一緒、転入という事態に慣れていない」(作者註:人口動向は2007年末現在)
「私、担任さん怒鳴りつけたんです。あんた転入生なじませる算段も知らんのかって。……知らなくて当然ですねそれじゃ」
「いいやあなたの指摘は尤もと受け止めるべき。私たちも、これまでは、これまでのやり方で波風立ってこなかった。でも今後はこれまで通りというわけには行かない。いやむしろ、“これまでのやり方”の踏襲の繰り返しが、基本を忘れさせた部分は多分にあると思う。それが今回事件の苗床としてあるのよきっと。自主性が出てくる時期……だからこそ、生徒一人一人とのコミュニケーションを大切にしなくちゃならない。基本中の基本よこれは。でも基本、当たり前のコトって慣れるに従いなおざりになってしまう。言い訳にもならないけど」
「先生がコミュニケーション不足とは感じませんが?むしろ音楽専任で良く把握してらっしゃる」
「友達が友達をという感じで一緒に遊びに来てくれたりするからね。担任じゃないからフランクに話してくれる、という部分もあるみたい。あの子ひどいんですーって感じでね。でも、今のあなたみたいに、真剣に語り合ったことはないよ。良くも悪くも友達感覚。深入りしすぎない分全体の構図が見えやすいだけ。担任持つって大変だなって思う」
 
(つづく)

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