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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-197-

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 坂本教諭の目がハッと見開かれる。レムリアはそれを見て。
「深刻に捉えすぎですって。……ついでだから白状しますが、だからいじめられたんです私は。王族といえどちっこい国。大した産業も観光資源もあるわけでない。外貨収入が逼迫して経済が沈滞してるのに税金でのほほんと優秀校行きやがってってね。最も、私の場合形も証拠も残らない“ひたすらな無視”でしたが」
 ちなみに、それでも国が成り立っていたのは“魔術祈祷収入”である。国家繁栄、戦役防止に“魔術”が幅を利かせていた時代の話だ。科学実証主義が芽生えた19世紀以降は皆無になり、蓄財を取り崩して賄ってきた。
「私は王家を継ぐ気はありません。私みたいな経験は私で金輪際にしたい。議会が王宮庁廃止を議案として準備しているようですが、母は反対特権を行使する気はないと言っています。プリンセスが煌びやかなのはおとぎ話の中だけだし、それで充分。私は普通の女の子でいたいし、世界中の女の子が普通の女の子であって欲しい。ただそれだけ。そして、この町に茶碗を買いに来て、真由ちゃん、由香ちゃん、あなた達に“普通じゃない”を感じた」
 坂本教諭にクールな表情がようやく戻った。
「たとえ姫様で看護婦でも、他でもない、“自立”の過程の真っ最中にある女の子そのものなんだ、あなたも」
「そのように見えてらっしゃるのでしたらそうなのでしょう。そして、だからこそ、彼女たちの痛みが判る」
 レムリアは言い、少し坂本教諭と見つめ合った。年齢にして20は優に(ごめんなさい。。。)離れていようが、何か近い物、シンパシー的な物を、この教諭には感じる。
 そこで父親がタイミングを見計らっていたように。
「まぁ、そこでは寒い。中へどうぞ」

(つづく)

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