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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-199-

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「ええ。大っ嫌いです。辞書的な意味は知ってますし尊重しますよ。でも、私にとってその概念すら邪魔」
 これで真意に気付いたようで、坂本教諭が『はっ』と小さく声を立て、身体をびくりと震わせた。
「そういう気持ちで接すると子ども達に感付かれる」
 坂本教諭の言葉に、二人は手首の鈴なりミサンガを見せ、頷いた。
「あなた達は……あなた達は……この上なく貴重で、大切なことを経験してきたようね……」
 坂本教諭は、ゆっくり言った。
 
 そして翌日。
 中学校体育館で急遽開催されることになった“ボランティア活動報告会”。
 演壇の設置されたステージ上には、折りたたみテーブルが配され、座す女性が二人。盛岡から再度とんぼ返りのシスターと、OL風スーツに身を包み、“相原姫子”のダテメガネを掛けたレムリア。……フォーマルなカッコしてると大人びて見えるという東京の助言による。スーツは持ち合わせがなかったので、ここの教員の借り物。看護師のIDを首からぶら下げ、シスターの付き添いを装う。この変装の故は、まだ接触出来てない加害者側の最後のひとり、大金だけ持たされ放任の娘が現れることを想定して。気付かれて反射的に逃げられると困るからだ。ちなみに昨日の欠席に対し、担任を通じてこんなメッセージを留守電に入れてある。
 
『今日は体調の不良で出席できないと連絡を受けました。明日、全員朝礼を体育館で行います。重要な報告があるので体調が良ければ出席して下さい。お大事に』
 
 ……連絡を受け、は実質ウソである。学校はもちろん、親も気を遣っているよと思ってもらうためのポーズ。だから“親から”とは言ってない。
 これで坂本教諭は“来る”と確信しているという。なぜなら、クラスに異常が生じていることは把握しているから、“重要な報告”がそれに絡むのではと類推が働く。そして、メールによる攻撃は、それでも一応の“つながり”であった4人をバラバラにしたと考えられる。仲間意識があるなら被害を慮るであろうし、でなければ誰かが裏切ったのでは。そう思って普通だ、というのだ。
 
(つづく)

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