グッバイ・レッド・ブリック・ロード-200-
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こうした背景は彼女の心理に不知不可解を生み、従って真実を確認したいはずで、それには学校に来るしかない。また、幼児を攻撃するのは“常勝者でありたい(幼児なら確実)”という意識が根底にあるはずで、だったら、自分がメール攻撃に“負けた”とクラスに見なされるのは、プライドが許さないはずだ、というのである。なお、“つながりバラバラ”判断の所以は、由香であれ燃え尽きてしまった娘であれ、携帯に“電話”が掛かってこない、相互の電話番号自体は知らないという事実に基づく。メールという、“つながりが形として残るもの”を欲するくせ、通常の人間同士のコミュニケーションは対象外なのだ。これは、“ココロ”に深入りすると傷つけられるかも知れない。でも繋がっているという形は欲しい。そんな“十代の意識”が背景にあると坂本教諭は分析する。
所定の時刻。
生徒達がクラスごとにザワザワと入ってくる。突然設定された全体集会。前向きな感じは受けない。ちなみに、生徒達には報告会である旨内容を知らせたが、“ボランティア”の具体的内容、及び“報告者”が誰かは知らない。なお、ステージ上からいわゆるお偉いさんは一切排除、一般教員含め体育館後方から見ている形とした。これは生徒が生徒の自主性に基づいて動き、その結果について述べるものであるので、お偉い方のお偉い能書きは無関係だからだ。もちろん当初は先の感謝状もあり、ひとこと言わせろと校長が言ったのだが、レムリアが強硬に突っぱねた。
「学校は、何かしてくれました?」
これは効いた。確かにゲシュタルト崩壊おばさんの悶着は学校が付けたと言えるかも知れない。しかし、そもそも悶着が生じた理由は担任の不用意な『みんなに訊きたいが……』だ。そこだけ鬼の首取ったように勝ち誇られても困る。
(つづく)
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