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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-202-

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「……様のご尽力を賜り、様々、お世話になると共に、学習して来たようなのです。そこで、内容を山路お姉様にご報告すると共に、先生方と、皆さんへのご報告も兼ねまして、この場を設定した次第です。では、二人、どうぞ」
 坂本教諭が紹介の腕をステージ袖に伸ばす。
 生徒達の目が集まる。
 “二人”が現れる。
 真由と由香が、手を取り合い、ミサンガ鈴なりの手と手を取り合い、ステージ上に現れる。
 当然、二人のクラスはざわめいた。“加害者”と“被害者”が手を取り合っているのだ。クラスメート個々の瞳が、驚愕に彩られ大きく見開かれるのが見て取れる。
 そのクラスの中に、奇跡を見たか、或いは悪夢か、驚愕を通り越して呼吸すら止まった、そんな表情の娘がひとり。
 二人は並んで、ステージ中央の演壇に立つ。
 それは良くある“優等生の発表会”と様相を異にした。少し違う……そんな認識が生徒達の間に生じたか、注目と沈黙をもたらす。
 その流れにあって、真由のクラスはざわめく自分たちが“場違いである”と感じたであろう、ざわめきから転じて押し黙る。坂本教諭がマイクを真由に渡し、レムリア達の傍らに退く。
 マイクを受け取り、顔を上げた真由の双眸が、天井水銀灯の発光を燦然と反射する。
「ちょっと手伝って……きっかけはその一言でした」
 背景目的なく、真由はいきなり始める。ここはレムリアのシナリオ。ヘタに概要説明を行うと、先入観から“な~んだ、そういうことか”と勝手に解釈して鼓膜にフタする輩が必ずいるからだ。一体何の話だ?と思わせるくらいで丁度良い。“優等生的な”内容であればあるほど尚。
 そして。
「スタッフの中に大柄な男性がいるのですが、小さい子がその人を見て怖いというのです。だもんで、お姉ちゃん、ちょっとこのお菓子渡したって~って……すいませんへたくそ名古屋弁で」
 
(つづく)

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