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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-203-

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 このように砕けた形に持って行くのもレムリアの流儀。しかし、場内は笑いが起こるというよりは、優等生イベントにあるまじき、気さくで日常的な表現のせいもあろう、“意表を突かれた”、或いは“驚愕”的ニュアンスの沈黙が座った。だが、ウケを狙うというよりは“優等生イベント”の箔を引き剥がすのが目的なので、笑いの有無は無関係。
「だから別に、自分の意志で始めよう、加わろうと思った訳じゃないんです」
 語りかける。なお言うまでもないが、この辺はいささか作り話にならざるを得ない。船の出来事を語るわけにも行かないからだ。ストーリーとしては、そのままお菓子配りの手伝いへ、すると子ども達が笑ってくれた。それを見た“スタッフ”が。
「良かったら続けて参加してくれないか、と誘って頂きました。児童養護施設や子ども病院を回ってみんなに楽しんでもらう。マジックショーやショートコント、サプライズイベント……楽しそうじゃん。軽いノリでOKしました」
 ここでマイクを由香に変わる。
「前からそういうことしているグループに混じって、バスに乗って、あちこち巡りました。最初のうちは喜んでもらえるのがただ楽しくて、本当にただそれだけで、次へ、次へ、と回っていました。そして幾つ目だったでしょうか。アクシデントが起きました。少し長いですが話させてください」
 それは由香の“言いたかったこと”。
「そこは小児病棟と、いわゆる老人ホームが同じ建物に入っています。一緒に食事して、一緒に遊んだり、勉強を見てもらったり。私たちは……ステージのこちらの看護師さん」
 当然レムリアのこと。座礼しておく。
「……と一緒に、施設のあちこちに突如出現して、手品でお菓子を出しては配る、そんなことをしてました。そしてちょうど、休憩コーナーで、ジュースを飲んでいた時でした。看護師さんは、ナースセンターに打ち合わせに行っていて、そこにはいませんでした。
 男の子が駆け込んできました。さっきの看護師さんいませんか。おじいちゃんが急にいびき掻いて眠っちゃって全然起きない。って。
 脳溢血だってすぐに判りました。私の祖父も、それで亡くなったからです」
 
(つづく)

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