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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-213-

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 夢子はその背をぴくり、と震わせたが、それだけ。
 シスターはレムリア同様にしゃがみ込み、その背をゆっくりなでさすりながら
「由香ちゃんと、真由ちゃんは、今は仲良しです。それは、魔法のキーワードを、この姫様から聞いたからです。……私から言ってしまっていいですか?プリンセス」
「ええもちろん」
 異論はない。シスターが口にする呪文が何か、判っている。
 
「“ごめんなさい”よ」
 
 夢子は黙ったまま。
 まぁ、素直には出てこないだろう、とは思う。刃物に頼ってまで地位保全を図るくらいだ。自分が“下”になる、という観念は、この娘にはあるまい。
「今じゃなくていいよ。でも、あなたがそう言ってくれると、信じて待つよ」
「お人好しだな」
「もう一本ナイフ持ってること?」
 言い当てられて夢子は目を剥く。なお、それで再度切りに来るという印象は受けない。自分の“回避能力”の存在を夢子は知った。
「エスパー噛ましたわけじゃないよ。ヘタにヤンキーにナメられてしゃぶられたら最悪だもんね。切り札持って普通だと思う」
 意味。その辺の不良に与しやすしと見られ、暴力をカサに大金巻き上げられたら甚大なショックでしょ?
 だから“心理的に他者の上にあるべき”が行動原理として身に染みついており、その拠り所がナイフなのである。
「……お前、何なわけ?」
 理解不能という意をその言は含むか。
「だから、救助ボランティア。言ったじゃん」
「わけわかんねぇ」
 失笑する夢子にレムリアは耳打ちする。
「友達のいない娘を放置して去る気はない」
「余計なお世話だよ」
「奉仕の精神ってのが身に付いててね。カネないからカラダでね」
 すると。
「何だお前“ウリ”か?」
 夢子はやや驚きも含むか、眉根を潜めて見返した。
 
(つづく)

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