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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-217-

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 目を背けて見ないふりすべきではないし、それで済むものでもない。
 子どもの世界は、社会の縮図。
「アムステルダムまで来るかい?構わないよ。栄のゴキブリが『裏切った』ってトサカにキタところで、来られるモノならここまで来てみろって」
 それは、彼女にも“暴力の枷”が嵌められていると想定しての発言。何のことはない。いじめが暴力を背景に暴力の口止めを計っているのと同じ構図。
「お前日本人じゃ……」
「ないよ。だったらどした?」
「いや、その……」
 夢子は目を泳がせうつむく。少し丁寧気味のその声は、レムリアに対し歯が立たないと感じている風情。
 それはレムリアとして“狙った”結果ではある。恐らく、この夢子という少女にとって初めてであろう、お前なんか怖くないと公言する“いい子系”の娘。それは理解を越えた存在であると同時に、逆に言えば彼女を“避けてない”宣言とも言えるのだ。無論、レムリアの真意は後者にある。そのために、言葉遣いと、少しばかりの事実と実績を加味してみただけ。いささか露骨だったかも知れないが、そこまで言うからこそ“隠し事は無い”という感覚が伴い、綺麗事の箔を剥がし、説得力を持つのだ。
「ボランティアってのはナイフ如きでお漏らししてたら商売できないのさ。いい子ぶりっこのこれ見よがしと一緒にされるのはゴメンだよ」
 レムリアは言うと、立ち上がり、夢子に向かって手を伸ばした。
 対しレムリアを見上げる夢子の目。それは最早崇拝に近いかも知れない。レムリアの態度行動が根無し草の糞度胸ではなく、盤石の大地に立つ大木のそれだと知ったのだろう。
 それが幅を利かせる、夜の世界の経験ゆえに。
 レムリアは小さく笑う。そこさえ理解してくれれば上等。
 
(つづく)

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