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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-220-

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 案の定、夢子の手が動きかける。やはりこれは彼女に取り大事なものだ。
 少し超感覚。まず判ったのは、この質感佇まいは、超感覚のいう限り本家の作った手作業本物と思われること。見分け方があると思うが、正直今は偽物でも構わない。
 なぜなら。
「お前これ本物じゃん。良く使い込んである。買った?もらった?」
「……親父」
「じゃぁ、持っておけよ」
 丁寧に刃を戻し、手渡しし、握らせる。
 夢子は目を剥いた。なお当然、刃物を持ち歩くことは校則で禁止である。
 だが、レムリアは、教員には渡さなかった。
 このナイフの存在が、彼女と彼女の家族……父親とを繋ぐ絆と判ったから。だとすれば超法規。
 この子のレゾンデートルが“現金のみ”じゃないだけ、マシだから。そういう“ホントはいけないんだよ”な話は、彼女が真由ちゃんに頭下げてからでいい。税金ドロボーでマフィアのボスをしょっ引くのとは違う。
「返すよ。その代わり約束だ。肥後守は小加工が主な用途で人を傷つける物じゃない。護身用としてもだ。……お前の父ちゃん、それ持って毎日遊んでたと思うよ。枝切って刀にしてチャンバラごっこ、釣り竿作って、釣り針作って、ミミズで釣りして魚捌いて。多分バカ高いゲームよりナイフ一本の方がよほど遊べるんじゃないかな。それがいつの間にかあれもダメこれもダメ。そもそもどこで遊ぶんだい。金を使うかゲームしかないじゃんか。どっちにしたって欲しいのは金。それでちょっとギラギラするとPTAがしゃしゃり出て来て子どもは刹那的になったとのたまう。そんな社会に誰がしたんだバカなオトナ共が」
 レムリアはそこで、ステージにひょいと飛び上がった。
 一体何者……そんな注目を一身に感じる。だったら。
「みなさんごめんなさい。全ての仕掛け人はこの私です。というのも、大体判ったと思うけど私の友達が、いじめられてた。他にも、多分あるんじゃないかと思う。でも、でもね。別につるし上げするためにこれ設定したわけじゃない。むしろその逆。こうやって解り合えるって証明したかった。ただそれだけ」
 
(つづく)

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