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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-221-

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 見渡す。
 沈黙と注目。まぁ、この展開では唖然とするより他あるまい。
 唖然ついでにその注目を得て少し目を閉じる。両の耳に手を添え、耳を澄ます仕草。
 目を開ける。
「みんなストレス抱えてるの感じる。原因は何だと思う?成績?後ろで偉そうなセンコー?うるっせぇ親?ううん多分違う」
 思い浮かぶまま口にする。本当は出しゃばる気は無かった。こんなこと言う気もなかった。
 だが、もう我慢できない。
 多分、今言うべきは、全然無関係な自分。成績も、教員の心象も、関係ない自分。
「判ってくれねぇ。聞いてくれねぇ。なんでそうなるんだよって。違う?」
 大きめの声に、多少頷く顔有り。
 続ける。
「何でか判る?答え簡単。大人どもってバカだから。鈍感で自分勝手な大馬鹿だから。だってそうでしょ。こいつら今の私たちと同じ10代ミドルティーン通って来てるはず。私たちの気持ち判るはずなんだ。なのに返ってくるのは、勝手にしろとか、自分で考えろとか、子供のケンカだろとか、おざなりのなおざり。なんでそうなるん?お前たちだって同じ立場だったんちゃうん?なのに判んないってどんだけバカなん?……って言いたくない?」
 早口になる自分に制動を掛けるため、少し間を置く。
「何でバカなん?答え書いてあるトコ知ってる。エジプトのピラミッド。紀元前2500年古王国時代のご存じでっかい三角形。あれの中の石にね、当時の現場監督が、作業日報と一緒に刻んだメモにこう書いてあるんだって。“全く最近の若い者は”って」
 少しクスクス笑い。ちなみに、この情報の確かなソースをレムリアは知らない。
「で、ちょっと計算。4500年前。人間の一生は先進国だと平均75。当時は50か。中間とって60としようか、4500を60で割ってやると」
「75」
 暗算得意なのであろう。答えがもたらされた。
「ありがとう。75世代。最近の若い者はってフレーズ今でもあるでしょ?ってことは、その間ずっとぼやき続けてるわけよ。最近の若いもんは最近の若いもんは最近の若いもんは……75回目のこいつらどんだけバカなん?って」
 
(つづく)

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