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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-222-

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 これは教員も含めてウケた。笑いが収まるのを待つ。
「冗談はさておき真面目なこと言います。皆さんの生きてきた15年は、皆さんにとってそれが全てです。でも後ろにおわしますバカ様たちや、皆さんを生み育てたバカ様達は、15年が三分の一か四分の一、いや人によっては五分の一……二分の一だったらそれはそれで逆に尊敬に値しますが」
 笑いが付いてくる。
「そうするとね。15年がひとまとめになってしまうらしいの。皆さんが毛の生えた子どもと変わらない。幼稚園の子どもに毛が生えた程度にしか感じられない。その毛の生えたヤツに更に毛が生えたか、或いはとっとと毛の抜けたヤツが何ほざくって感じだけどさ」
 笑いと拍手。
「ありがと。だから、こっちが幾ら深刻に思っていても子どもの戯言になるわけよ。で、私らもどうせそんな反応しか返って来ないと思うから、つい何も言わなくなっちゃう。でもそれじゃだめ。だってバカ相手にするんだから。バカには何度も言って聞かせなくちゃ。それでも判らないならどやしつける。……っだおめぇ!人が真面目に話してんのにその態度はねぇだろ!って」
 この最後の一文、レムリアはステージ床を蹴りつけ、ドスを利かせて叫んだ。
 先の発声法も作用したであろう。先頭近くの生徒がのけぞる。
「あきらめず声を上げ続けなきゃだめなんだ」
 息継ぎ。そして胸に手を当て。
「聞いてくれるまで、理解してくれるまで、言い続けなきゃだめなんだ。だってこいつらバカだもん。私判ってる。あなた達は子どもじゃない。子どもに毛の生えたようにしか見えなくても、ここの中は子どもじゃない。思ってる考えてる人間なんだって判ってる。でもこいつらそうじゃない。自分たちの言う通りおとなしくしてろガキとしか思ってない。ぺちゃんこのムネの谷間に立派に人格が出来上がってることに気付いてない。ひょっとしたら気付かないふりしてるのかも知れない。だから、思い通りにしようとするし、思い通り動かないと判った瞬間から、何のかんの難癖つけてくる。じゃぁお前達何してるんだって。人殺して風俗作ってギャンブルやって、だけど子どもは見ちゃいけませんって、隠したつもりかお前らバカか」
 レムリアはその言葉を居並ぶ教員達にぶつけた。
 
(つづく)

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