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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-235-

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 挙手する人いませんか?手を上げるポーズで訊いてみたらくすくす笑い。……そういう方も、対し異論も、特にないようだ。
 本論。
「このパネルの講演で私が喋ったのは、環境負荷が巡り巡って、離れた国々に貧困と、伴う子ども達の命の危機をもたらすという内容です。目の当たりにしてきた立場からすると、この日本という国は、来たなと思うだけで、国の存在を思うだけで、お茶のようにホッとします。空を見るのは天気を見るため。夜空を飛ぶのは飛行機と流れ星。ミサイルや砲弾の心配なんかありませんもんね。対し彼の国を思う時、民族が違う、宗教が違う、それだけの理由で幼子まで真剣に殺しに来ます」
 一気に静まりかえる。“殺す”という語があまりにも場違いなせいである。但し、その強さゆえに、仕込んだ論理のすり替えは誤魔化される。
「本当は互いに譲り合って共同と共有が必要なのです。だって何もかも乏しいのですから。原始人類はそうやってみんなの力で乗り越えてきた。だけど、何故か現代人は目先ばかりを見て全体が視野に入らない。それっておかしい。人類は進歩してるんじゃないですか?それともお馬鹿さんになったのでしょうか」
 少し間を取る。
「先ほど名所出し抜くと言いました。実際、国単位で先進各国を出し抜いた所を私は知っています。そう日本です。焼け野原から他国の良いところは受け入れ、改善改善で昇り続け、そしてついに追いつき並んだ。世紀をまたぎ、今や液晶テレビや……最近ではロボットですか、時代を牽引する技術の発信地は日本です。そして聞けば、その技術に連なる原点が、この街のタイルというじゃありませんか」
 少しざわつく。そうなの?何それ?といった反応が結構多いようである。
 
(つづく)

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