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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-237-

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「でも思うんです。いがみ合う世の中に、新しい物違う物を受け入れて、それを新たな飛躍の糧とする。そんな街の姿見せることが出来たら、どんなに素敵だろうって。1000年前と21世紀が同居するんです。一体どんな光景だろうって。
 それ多分、平和ってこういうもんだ、になると思うんです。だったらそれこそ“常滑から世界へ”飛行機乗っけて、持って行ってもらったら、いい。タイル、クルマ、次は平和。ジャストインタイムでお届けします」
 大笑いした男性が数名……ジャストインタイム、略してJIT(じっと)は「必要なものを、必要な時に、必要な量だけ生産する」の意で、この愛知に本拠を持つクルマメーカーが発案して日本国内、更に世界へ広めたコンセプトである。工場勤めの人なら判る小ネタ。ちなみに東京の入れ知恵。
「文法的にはジャストオンタイムなんですが」
「おもしろすぎるぞー!」
「ありがとうございます。でも冗談抜きにタイルは……世界トップですよね。クルマもそこが見えてきた。次は……それもまた愛知常滑から。そしてそれも世界トップに。だったら……これ以上素敵なことはないでしょう。そしていつか、いがみ合うことしか知らずに育った子ども達と一緒に、この街にまた来られたらいいな、と思います。私がこの街で見たのは、脈々と受け継がれる伝統と、現代的な個性の斬新な挑戦との、凝縮された接点。でも、どっちか、じゃない。そのどっちも頂戴して新しい何かを創り出す。
 人は夢だと言うでしょう。ええ夢かも知れません。ただ言えることは、過去人類はエジプトやギリシャ、ローマの初期にそれに成功している。その歴史が示すのは、成功の暁には穏やかな安らぎがあるということ。どうか、いつまでもそんな街であり続けて、こだわりの陶器が、殺伐とした現代を生きる人々を癒やす、歩いて安らぎを感じる、そんな街であって下さい。
 大好きな街が、また一つ、増えました」
 一歩下がり、頭を下げると拍手に包まれる。
 
(つづく)

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