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グッバイ・レッド・ブリック・ロード-234-

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 そこへ。
「……オシャレじゃんって」
 レムリアはこう付け加えた。
 静かになる。好意的だった雰囲気の変化が如実に判る。
「私は、常滑の陶器が好きです」
 空気変わったところで、そっと一言。
 少しの拍手。
「でも……別に詳しい訳じゃありません。本当ならココでこんなこと喋る立場じゃない。友人宅で出してもらったお茶の器が常滑だった。いいなと思った。買いに来た。そして……あら見つかっちゃった。ただそれだけ」
 小笑い。
「だって、こんなでっかい空港のでっかい会場で、こんなでっかいパネル展示してあるなんて聞いてませんもん」
 背後指差して言ったらウケた。
 笑いが収まるまで待つ。
「そんなわけで王家です。アジアの陶器ゴロゴロしてます。こう……いかにも西洋人の東洋趣味全開!ってな感じの物です。でっかいの、細工が細かいの、極彩色の……何に使うの。そんなの。
 見慣れた私が、日本で初めて、日本茶を普通に出してもらったのが、窯変……でいいんですよね、黒く色づいた、こちらの茶器でした。手に馴染む形で古風なイメージ。何の変哲もないただ飲むための器。ひっくり返せば無駄も余計もない。でも、それが逆にホッとするような気持ちにさせてくれました。あ、これいいな。
 常滑……街の名を聞いたのはこの時が初めてです。国の母が言うには『知らない』と。そして、『そんな素敵だったら買ってきて』。……常滑ってあんまり無いんですね、そーいう、お飾りな陶器って。
 訪ねた工房で訊いたら、そういうムーブメントに乗り遅れただけだと笑って仰ってました。でも実際どうでしょう。こうやってノコノコ買いに来る小娘がいて、その街でお店をやりたいという人がいる。なんで?好きだからという以外に説明のしようがない。みなさんも、何でそんな潮流に乗り遅れたと自嘲しつつも、陶器作ってこうやって展示会出してらっしゃるんですか?作りたいから。何で?好きだから。他に理由あります?……いやもちろん、他の名所を出し抜けばオレの名が上がるとか壮大スケールの話でもいいんですが」
 
(つづく)

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