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【妖精エウリーの小さなお話】花泥棒-12-

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「あの山懐の湖水のところ」
 私は指さしました。標高にして500メートルはあるでしょう。連なる山々の間に大理石の白い城壁がチラリと見えています。妖精と人間さんが交流していたのはギリシャ時代が最後で、従いフェアリーランドなどの天国にあるガイア様の関連建造物は当時の仕様に基づきます。
「飛んで行けば早いよ」
〈それはいけません〉
 ジョンが言いました。
〈本来自力でたどり着くもの。飛んで行くなど、ましてや妖精さんの力でたどり着くべき場所では無いはず。あり得ないことをしてはならないと思うのです。確かにかおるちゃんがここにいるのは特別です。でもそれはありのままを、本来あるべきを見せよとのご配慮のはず〉
 私は頷きました。
「判った。なるほどね。あなたの意見に従いましょう。……かおるちゃん、神様の所まで歩くよ。ちょっと遠いけど、頑張ってね」
「神様が連れてって下さるんじゃ無いの?」
〈神は道を示すだけだ。その道を行くかどうかは、示された者が自ら決めること〉
 男爵が言いましたが、私はそれをかおるちゃんに伝えませんでした。人生哲学そのもので、難しすぎると感じたからです。
 出発します。広場に集まる4本の道のうち、南へ伸びる道がそのお城の方向です。
 町を出ると……骨だけの動物。
「肉をくれ」
 骨だけなのにどうやって音を出しているのでしょう。でも確かにその動物はそう〝言い〟ました。
「人間じゃないか」
 動物は言いながら、私たちの前に立ちふさがります。かおるちゃんが怖そうな表情。
 しかし。
「あなた、骨になっちゃったんだ」
 かおるちゃんは動物の前にしゃがみ込んで言いました。
「そうだ、だから肉をくれ」
「どうして神様の所へ行かなかったの?」
「食いたい。寝たい」
 動物は犬だったと私は知りました。溺愛されて食べるだけ食べ、一方でろくに散歩に連れて行くこと無く、肥満の挙げ句糖尿病で早死にしたようです。
〈醜悪な野郎だな〉
 
(つづく)

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